石井志をんの短歌研究、家族の歌
松江久志(まつえひさし)「花宇宙」春の巻 (その十四)
芍薬
「おもむろに芍薬ほどけてゆくさまを病みいる母が長々と見る」
松江久志の著書「花宇宙」副題「松江久志の植物短歌歳時記」より
芍薬は陽が落ちると花びらを閉じて翌朝再び開く。急がず慌てず思わせぶりに花びらの一枚一枚が開いてゆく、いや、ほどけて行くのだ。こう言う表現が日本語の妙であると思う。飽きもせずにそれを見ている母の健康状態は良好とは言えない、歌人としては花よりも大事な母の健康が気がかりなのである。
美しい女を表現するときに「立てば芍薬」と始まるぐらいだから綺麗な花の代表である、艶やかなはんなりした優し気な花である。芍薬の美しさはそんじょそこらの花とは違う。この花には近付き難い品格も有るのだ。頬を染める事を英語でBlush like a poenyと言う。これは既に一遍の詩ではないか。
これだけ華やかな花なのに花言葉が「はにかみ、恥じらい、内気」と言うのは夕暮れ時には花びらを閉じる事から来ていると言う。
芍薬は見て楽しむだけでなく漢方薬として珍重され、広く世に出回っている、あらゆる痛みを和らげる効果が有ると言う。
「芍薬
シャクヤク
エビスグサ
カオヨグサ
ウマノアシガタ科
Paeonia L
北満州原産
【花言葉 はにかみ、はじらい、内気】」
「花宇宙」より
歌人 石井志をん 千葉県出身、カリフォルニア、サンタクルーズ、フェルトン市在住、日刊サン短歌部門の選者を務める、カリフォルニア短歌会会員、新移植林会員。
二〇二二年七月記
(注、カリフォルニア短歌会はロサンゼルス在住の松江久志主宰、新移植林はロサンゼル在住の中條貴美子主宰、どちらにも北米と日本の歌人が在籍)
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