石井志をんの短歌研究、家族の歌 松江久志「花宇宙」春の巻 (その二〇)

石井志をんの短歌研究、家族の歌

松江久志(まつえひさし)「花宇宙」春の巻 (その一九)

 

蒲公英

 

「蒲公英と汝が呼ぶひびきが快く子らとの遊戯喜ぶ如し」

「蒲公英の絮毛吹き吹き子をあやし明るき丘に汝と安らう」

 

松江久志の著書「花宇宙」副題「松江久志の植物短歌歳時記」より

 

最初の歌、蒲公英を英語ではDenddelionと呼び花がライオンに似ているからだと言う。中国語ではPugongyng(ポゴンギン)と呼ぶ。日本で何故タンポポと呼ぶかについては諸説有るが、その鼓草(ツヅミグサ)と言う別名から、鼓を打つ時の音から来ていると言うのが有力である。兎に角、タンポポ、と言うその響きは明るく、元気良く、愛らしい。歌人の妻がタンポポと言う時はまるで子供達と遊戯に耽る喜びに満ちているように歌人の耳に快く響くのである。

二首目の歌、タンポポといえばあの絮毛(ワタゲ)である。フーッと吹いた時に飛び散る白い絮毛は一つ一つが小さな落下傘の様に空中をゆっくりと浮遊する。タンポポを吹いた時のあの爽快感は誰もが一度は経験しているのではなかろうか。歌人の子供達が(あるいはお孫さんかもしれないが)未だ赤子だった頃夫人と共にタンポポを吹いてあやした思い出は明るい丘に繋がるのである。

(余談だけれど、筆者がカナダはトロント近くの公園で一度見たタンポポの群れは気候のせいか土のせいか花も茎もスクスクと巨大でガーベラを思わせる程見事であった)

 

蒲公英

タンポポ 鼓(ツヅミ)草 田菜(タナ)

菊科の多年草

Traxacum wiggers

Denddelion

太陽の出没で花が開閉、早春の代表的野草、花は黄色

【花言葉 軽薄 愛の信託 思わせぶり】

「花宇宙」より

歌人 石井志をん 千葉県出身、カリフォルニア、サンタクルーズ、フェルトン市在住、日刊サン短歌部門の選者を務める、カリフォルニア短歌会会員、新移植林会員                     二〇二三年八月記

 

(注、カリフォルニア短歌会はロサンゼルス在住の松江久志主宰、新移植林はロサンゼル在住の中條貴美子主宰、どちらにも北米と日本の歌人が在籍する)