石井志をんの短歌研究、家族の歌 松江久志 「花宇宙」春の巻 (その四 )

松江久志(まつえひさし)「花宇宙」春の巻 (その四 )

「相向かい朝のコーヒー楽しめる窓辺に白梅凛と咲きたり」

松江久志の著書「花宇宙」副題「松江久志の植物短歌歳時記」より

暖かい部屋の中、差し向かいで湯気の立つコーヒーを味わう二人。戸外はまだ肌寒い季節である、が、窓の外に目をやればそこに白い梅の花が咲いている。

この歌では、二つの対比を描いている。

一つは[香り]である、室内にはコーヒーの芳醇な香りが溢れ、窓の外には梅の花の高貴とも言える香りが漂っている。

二つ目は[色彩]である、コーヒーの琥珀色と梅の花の清らかな白。

香りと色彩の鮮やかな対比に臨場感が有り、この歌を生き生きとさせている。

 

「梅

ウメ

Prumus mume

バラ科の落葉花木

中国原産

咲き方も散り方も桜に比べるとゆっくり、桜にない香りもある。

『万葉集』に百十九首詠まれている(百二十四首説もある)

中国では四貴四徳があると詠まれ又描かれた。

梅を欧州に伝えたのはケッペル、学名を与えたのはシーベルト。

古代に薬用として渡来」                 「花宇宙」より

 

(注、「四貴四徳」とは

梅は古来から暖かい季節の訪れを告げて来ました。凛とした花の姿に加えて高貴な香りが有り、精神的道徳的な能力が有ると思われ、中国ではそれを讃えて多くの詩歌に詠まれ、描かれてきました。

四貴四徳、四つの高貴さ四つの徳を備えたと言う意味ですが、四は必ずしも四項目の貴 徳と言うのではなく「多くの」と解釈しましょう。梅には人を惹き付けるものが多く有ると言う事です。)

松江久志、嶋幸佑、談

敬称略

 

歌人 石井志をん 千葉県出身、カリフォルニア州 サンタクルーズ・カウンティー フェルトン市在住、日刊サン短歌部門の選者を務める、カリフォルニア短歌会会員、新移植林会員。

二〇二一年八月記

(注、カリフォルニア短歌会はロサンゼルス在住の松江久志主宰、新移植林はロサンゼルス在住の中条貴美子主宰、どちらにも北米と日本の歌人が在籍)