2020年11月21日、ロサンゼルスにて、板橋恵理

コロナ感染者が日に日に増えてきているカリフォルニアで、夜の十時から翌日の午前五時までの外出禁止令が出ると共に、レストランでのサービスにも再度規制が適用されるようになった。家族や友人らと過ごす機会の多い年末に近い現在、集まりにも人数の限定がされるなど、 コロナが最初に発生し騒がれた三月と結局同じ状況に戻りつつあるようだ。

コロナは世界中で社会的、 経済的、 そして心理的にも大きなダメージを与えているのは確かである。  人々は職を失い、 新しい職を見つけるのは容易ではない。 例え今職はあってもいつ状況が変わるか分からない。 多くの企業や会社は在宅勤務、 学校はオンライン授業を実施し続けている。 オンライン授業は、慣れない学び方に戸惑い、ついていけない子達達もいるそうである。 休み時間や週末も外で遊ぶことも出来なくなったため、 ストレスもたまってくるだろう。 他の子供達と戯れるからこそ発達してゆく免疫力も弱くなっていくかもしれない。

医者も定期的な、又緊急ではない健診の予約をキャンセルしたり延期しているところもある。 その為児童の成長時に必要な様々な予防接種も出来なかったり遅れがちになる。 病を予防する為の通常健診だって必要である。

 

人間は一人では生きてはいけない。 例え口喧嘩や口論になろうが、 人との対話やらスキンシップは大事だ。 ロックダウンで人との触れ合いが妨げられ、 自殺を考えた、十代、 二十代の若者、 大人、 そして老人と年齢層も様々だそうだ。 幼児や子供達にとっても、 社交性を身に付ける人との触れ合いは大事なことである。

感染数をこれ以上増やさぬようにするのは勿論重大である。 しかし外出禁止やこれ以上のロックダウンは厳しい。 幸いなことに、コロナ事態が発生してから既に八か月経った今では、 人々のコロナ菌に対する知識や理解も深まってきていて、 マスクを着用、 手を洗い、人との距離を開け、必要以外の外出はしない、 更に、 高齢者や持病のある人、 治療を行っている人に感染させぬよう、傍に集まらないようにするなど段々と日常生活に浸透してきている。

しかしこれらは常識的なことなのではないだろうか。 言い換えれば、 現状は八カ月も経つ前にある程度押さえられたかもしれない。 例えばコロナに限らず、 普段より、 風邪気味だったりちょっとでも具合が悪いときは、 周囲をも考えマスク着用、 手を頻繁に洗い菌を落とすなどだ。 コロナ事前は、 手洗いに行った後手を洗わぬ人、 くしゃみをするとき口をカバーしない人などあちこちで何度も目撃した。

ワクチンはコロナを終息させてくれるかもしれないが、 人々の日頃の常識が感染極少化と予防に役立ち、 そして集団免疫へと繋がっていくことが出来たら、 色々な面で厳しいロックダウンも最小限に、 かつ短期間のみに押さえられたのではないかと思うこの頃である。

板橋恵理=関東地域で生まれる。家族の転勤と学校のため、幼年期から現在にいたるまで、日本ーヨーロッパー日本ーアメリカで生活する。現在は、アメリカ人の夫と老猫とロサンゼルスに在住している。趣味のひとつである太鼓にはまり、5年がたつ。老猫の名前もタイコ。

板橋恵理のカリフォルニア人間観察(エッセイ一覧)

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