板橋恵理のカリフォルニア人間観察:あるポットラックの集まりで

随筆日、2022年7月、ロサンゼルスにて、板橋恵理
ウエッブ掲載日:2022年12月5日

夏もそろそろ幕を閉じようとしている頃、 15人程集まったポットラックディナーに招かれ行ってきた。

当地様々な人種が住んでいる場で開かれるポットラックパーティーは、 それこそ色々な料理がテーブルに並ぶので楽しい。 今回も、 素麺サラダ、 和風と西洋風の鶏のから揚げ、 ピザ、 韓国風の胡瓜漬け、 パエヤ、 炒飯、 お稲荷さん、 そして肉なしのビーガン (vegan) 風のメートボールの入ったパスタ、 豆腐のミニステーキなど、 思い出してもよだれが出るような美味しい料理が彩りよくテーブルに並び、 皆舌鼓を打った。

まだ感染率の高いコロナの変異株、 BA-5とやらが出回り、 屋内でのマスク着用が強く勧められている中、 今回のポットラックも主催者自宅の裏庭で行われた。 決して広くはないが、 植木の手入れがきちんとされている、 こじんまりとした庭にテーブル、 折りたたみ式の椅子やら、 あちこち移動できるカートなどが設置されていた。  人の作った料理は何でも美味しい。 まして普段は自宅で作らない、 或いは食べないものだからこそ、 よけいに美味しいと思うのだろう。

以前より、我々仲間のポットラックパーティーでは、 ホストの食器洗い、 掃除などの負担を少しでも和らげる為にも、 皆あらかじめ自分用の紙皿、 タッパーウェア―や、 フォーク、 箸などを持参する。 残り物は各自、 蓋つきのタッパーウェアーに入れて持ち帰ることが出来るので、 一石二鳥であり、  ましてコロナが続く中、 効率的だろう。

野外での集まりと言えど、 食事中以外は、 多くがマスク着用である。 マスクをしなくても良い環境ではあったが、 参加者の一人が、 或いは隣に座っている人がマスクをすれば、 やはり自分もしてしまうという、 暗黙の了解が自然に出来上がっている。

パーティーが始まる頃は、 まだ午後の日差しが強く、 「マスクが日焼け止めになっていい」 と言っていた女性達は、 日も沈み、 涼しくなってきた頃になれば今度は、 「マスクが顔の寒さ除けになる」 と、 食事以外はずっとマスクをしている。 参加者の一人の男性は、 週に何回かジョッギングをしているが、 マスクをしたまま走るそうだ。 息苦しくないかと聞けば、 「コロラド州や、 コロンビアなどの高地で走っているような感覚で、 マスクをして走れば、 肺活量を多くする訓練にもなるかと思って」 と、 ちょっと恥ずかしそうに話してくれる。 「成る程、 マスクの利用法って多いんだなあ」 と感心してしまう。  マスクする、 しないで 対立が起こり、 アメリカを分離させたコロナなのに、  今やマスクは、 人々の生活に浸透し、 普段でもマスクをしている人を大勢見る。

持参してきた人達もいたが、 テーブルの何か所には、 ハンドサニタイザーやらハンドワイプも置いてあり、 ホストの気配りが有難い。  これらがマスクと並び、 日常品となった今、 今後も需要の絶えない品となるのだろう。

コロナ以来、 久々に皆が集まったポットラックは、 通常より早くお開きとなったが、 やはり楽しく、 皆それぞれのタッパーウェア―に残り物を詰め、 帰途に着いた。 帰宅したら、 長袖を着ていたにもかかわらず、 両手に虫刺されの跡が何点かあった。 次回の野外のポットラックパーティーには、 余分のマスクとハンドサニタイザーの他にも、 殺虫剤とかゆみ止めの薬も、 追加で持参しようか。 将来のポットラックパーティーでは、 荷物が多くなりそうだ。

 

随筆日: 7/2022

改訂日: 7/2022、10/2022、11/2022

投稿日:  11/12/2022

 

板橋恵理=関東地域で生まれる。家族の転勤と学校のため、幼年期から現在にいたるまで、日本ーヨーロッパー日本ーアメリカで生活する。現在は、アメリカ人の夫と老猫とロサンゼルスに在住している。趣味のひとつである太鼓にはまり、5年がたつ。老猫の名前もタイコ。

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