随筆日、2021年9月、ロサンゼルスにて、板橋恵理
ウエッブ掲載日:2022年6月22日
カリフォルニアを始め、 オレゴンやワシントンなど西海岸に位置した州は日照り状態が続いており、 その中でもカリフォルニアの状態がとても厳しくなっている。 カリフォルニアは年中気候が温暖で過ごしやすい州だが、 あいにく万年水不足で、 2015年のエルニーニョ(El Niño )豪雨で多少救われたとは言え、高気圧と地球の温暖化に依り更に日照り状態が続き、 そこから抜けることは難しいようだ。
日照りは農作物に大きな影響を与え、 エアコンなどの電エネルギーの需要も上がることに依って、 長時間の停電が生じたり、 勿論電気代も上がる。 高気温はスモッグにも繋がり、 肺機能や呼吸器官の持病や状態をも悪化させ、 ましてまだコロナ禍が続いている中、 要注意だ。 脱水状態にもなり易く、 熱射病になったり、 心臓発作を起こしたり、 下手したら死に至る。 日照りは野生の動物や魚、 森林、 花などの生息地の破壊にも繋がる。 最近あちこちの住宅地に野生の熊やら、 ボブキャットやコヨーテが出現しているのもそのせいだろう。
ましてや気温が上昇する夏から秋にかけ、 ただでさえ雨量も少なく乾燥しているカリフォルニアでは山火事が多く何度も発生し、 まさに泣きっ面に蜂である。 カリフォルニア全体の毎日の天気予報を見ても、 どの地域も高気温で真っ赤に塗られている。 雨や雪がただ単に降れば良いというものではなく、 降る場所と量が肝心な要素だ。
カリフォルニアの給水源は二つあり、 ひとつは河や湖などに溜まる表面水で、 もうひとつは地下水だ。 カリフォルニアは海に面している為、 海水を脱塩しての給水方もあり、 現在五カ所に脱塩所もあることはあるが、 自然水の代替えとして事業や一般の家庭に供給するには、 膨大なコストがかかり、 将来の環境への影響も多いに可能性があるそうだ。 2015年にサンディエゴ方面にあるカールスバッド(Carlsbad)にて 、 西半球では最大と言われる脱塩所が建立されたが、 10億万ドルもかかり、 供給もコストもくだんの通常給水法の4-5倍は軽くかかってしまうそうである。 海に近いからと言って、 そう容易に生活の水源には出来ないらしい。
と言うことは、 これから当分節約することその効率を上げることが、 我々市民が出来ることでかつ責任だろう。 例えば庭に水を撒いたりシャワーを浴びる時間と量を減らすこと、 料理に使った湯や水は冷やして植物に与えたり、 ちょっとした掃除に使うなど、 各家庭や各自でもリサイクル出来る。 庭は芝生の代わりに、 思い切ってサボテンなどの多肉多汁植物を植えたり、 実際そのように再造園する家庭が増えているようだ。 自宅でコーヒーやお茶を飲むときや、 レストランで水、 コーヒー、 お茶などを頼むなら、 残さぬよう自分が飲み切れる量をあらかじめ注文するのも簡単に出来ることだ。 私の友人は普段から髪の毛を短くしていて、 洗髪に費やすシャワーと時間を節約しているそうだ。
水だけでなく、 電気使用をなるべく最小限度にするのに、 干せる洗濯物は干したり、 昼間はカーテンやらブラインドを閉めたりと、 こうした些細な日頃の行いが、 節約に繋がっていくのだろう。
そういえばまだコロナワクチンも出回っていない夏、 週に1-2回の割合で職場出勤していた私は、 ある日当時在宅勤務の為、 数か月顔を見ていなかったAさんとばったり合った。 海より離れたロス東部の郊外にある自宅より、 フリーウェイを3-4本利用し、 早くても片道一時間半をかけてやっと職場に着くA さんに、 在宅勤務を続けたらいいのにと言ったところ、 苦笑交じりに、 「僕の家、 今エアコンなくて凄く暑くなるから、 こうしてエアコンの効いている職場に来た方が仕事の能率も上がるんだ」と嘆く。 なるほどなあ、 と思いつい笑ってしまった。
随筆日: 2021年9月
改訂日: 2021年9月、 2022年6月
投稿日: 2022年6月19日
ウエッブ掲載日:2022年6月22日
板橋恵理=関東地域で生まれる。家族の転勤と学校のため、幼年期から現在にいたるまで、日本ーヨーロッパー日本ーアメリカで生活する。現在は、アメリカ人の夫と老猫とロサンゼルスに在住している。趣味のひとつである太鼓にはまり、5年がたつ。老猫の名前もタイコ。