板橋恵理のカリフォルニア人間観察 / ガソリン価格の上昇
投稿日2021年11月29日、ロサンゼルスにて、板橋恵理
(ウエッブ掲載日:2021年12月4日)
原油価格の上昇に依り、 ガソリンも急激に高くなっている。
現在は高いところで1ガロン6ドル近くもし、 安くても4ドル60セントあたりだが、 1ドルちょっととその差も大きい。 場所に依っても異なるだろうが、 私の住まいの周辺にあるガソリンスタンドでは、 現在1ガロン4ドル56セントと、 それでも比較的安い方で、 そこをよく利用している。
ガソリンの原油価格は寒い冬より、 気候が穏やかで大抵人々が動いたり出掛ける機会の多い夏に上昇しがちだ。 排気ガスを制限する法律に基ずき、 車の使用度が上がる夏に更に高価なガソリンの製剤法が要されることにもあるようだ。 ハリケーンなどの自然災害もガソリン価格に大きな影響を及ぼす。 今年の初めにテキサスで起きた厳冬で、 道路を始め、 家や製作所等で利用されているの器具や機械などが凍結し、 製油所も一時閉鎖せざる得なかった。 自然災害の発生前後、 人々は今の内と車を満タンにしがちなので、 需要の上昇に伴い、 供給価格もそれに比例するのだろう。
去年の前代未聞のコロナ伝染病も、 多いに関連している。 過去一年半のコロナ禍中、 人々は在宅生活をしていたので運転も限られガソリンは非常に安かった。 去年の四月には、 ガソリンの平均価格が2ドル以下まで下がったくらいだ。 人々は買い物をネットで行い、 品を配達してもらい、 運転する必要がなかった。 それまでは週に一回、 或いは二週間に一回の頻度でガソリンを入れていたのが、 一か月に一度給油するかしないかの程度になった。 在宅生活が始まる直前に私は車を満タンにしてあったが、 気が付いたら二カ月近くも給油する必要がなかった。 反対に製油所は一時閉鎖せざる得なくなったり、 それにより従業員も解雇となったり、 辞めていく者も出た。
そういえば人の経験話だが、 1979年のアメリカでのガソリン不足で車の給油に規定がかかり、 車のライセンスプレート番号の奇数、 偶数を基にガソリンスタンドに並び給油するということになったそうである。 例えば最後の数が奇数なら今日、 偶数なら明日という具合にだ。 数ではなく文字のみのライセンスプレートは、 奇数と扱われた。 しかし必ずしも給油出来るとは限らず、 その日のガソリンの量に依り、 ガソリンスタンドの係の者に途中で列を切られることもしばしばあったそうだ。 朝早く起床してガソリンスタンドに行くと既に車の長蛇の列だったそうで、 気が気ではなかったと思い出話を語ってくれた。
幸い私の現在の行動範囲は限られているし、 車も小型で5速シフト式なのでガソリンの燃料は経済的な方だろう。 満タンにすれば、 二週間半ぐらいは持つ。 給油が必要となれば、 だいたい2-3週間後の日程を基に、 半分にしたり満タンにする。 アメリカに来て初めて運転を始めた頃、 車の基本的なゲージも読めずにガス欠を二度ほど起こしたことがあるので、 それ以来ガソリンのケージが四分の一弱になると心細くなり、 すぐに給油していたが、 そんなことも今や昔の話となった。 今や神経が図太くなり、 ぎりぎりまで車を走らせる。 給油するときはカードでなく、 現金で支払っている。 例えば15ドル分給油するのに20ドル札を、 25ドル分なら40ドル札を出せばお釣りが来るので、 それで少し節約が出来た気さえする。
コロナワクチンが出回ったのは良いが、 皮肉なのは接種をする者が増えていくことで、 人々の活動も復活し、 これもガソリン価格が上る要素となることだ。 となると、 ガス欠すれすれまで車を走らせるのも、 価格上昇に対する私の精一杯の見栄なのかもしれない。
随筆日: 10/25/20201
改訂日: 11/24/2021
投稿日: 11/29/2021
ウエッブ掲載日:12/04/ 2021
板橋恵理=関東地域で生まれる。家族の転勤と学校のため、幼年期から現在にいたるまで、日本ーヨーロッパー日本ーアメリカで生活する。現在は、アメリカ人の夫と老猫とロサンゼルスに在住している。趣味のひとつである太鼓にはまり、5年がたつ。老猫の名前もタイコ。