板橋恵理のカリフォルニア人間観察 / もうすぐ二年

投稿日2021年12月21日、ロサンゼルスにて、板橋恵理

(ウエッブ掲載2021年12月21日)

正確にいえば来年の二月下旬で二年を迎えることになるが、  皮肉なものでこの題名を見ただけで、  世界のどこに住んでいようが、  年齢、 性別、 職業など関係なしに、  誰でもコロナ事態が発生し現在に至るまでの年数を指していると分かってしまうようになってしまった。

実際数日前、  友人Aさんの息子夫婦に丁度二年前誕生した娘の様子を知ろうとして、  「早いね。 もうすぐ二年経つんだよね?」 と聞いたところ、  Aさんはコロナのことと勘違いし、  「ほんと、  早いんだか遅いんだか分からないけど、  早く収まってて欲しいよね。」 と答え、  一瞬間があった後、  二人ともお互いの質問と応答を誤解していることに気ずき笑い合った。  それだけコロナは我々の生活に浸透してしまった。

コロナが発生し、  その後感染度の高いデルタやらオミクロン変異株などが出回り、  ワクチン接種をしていれば例え感染しても軽症で済み、  回復も早いと言われてはいるが、  今後新たに変異株が出回っていく可能性がもしあるのであれば、 今後の生活にどのような影響が出てくるのか?  ワクチン接種をし続けるのか? など答えのない色々な心配事やら疑問も出てくるだろう。

コロナは世界史上発生した大きな出来事のひとつであることには変わりはないが、  二年と言う歳月が長いのか短いのかは分からない。  例えば世界第二次戦争は1939年から1945年まで七年間続き、  終戦から75年経った今も、 日本では原爆の落とされた8月、  そしてアメリカでは真珠湾攻撃のあった12月と、  それぞれ各国で毎年記念日には追悼が行われている。  更に、  今年の8月下旬に終戦となったアフガニスタン戦争は二十年間続いた。  二十年続こうが、  二年経とうが、  その間何人もの命が失われ、  多くの犠牲者を出したことには変わりない。

二年前に苦心しながらも初めて縫った数枚のマスクは、  何回も洗われる中ゴムが緩んできたり、  生地も多少伸びてきた。  当時はこれだけ縫えば充分だろうと、  ミシンもしまってしまったが、  再度出して新しいマスクを作った方が良いのだろうかと思うようになってきた。

この二年間で当たり前だが皆二才年を取り、  くだんの友人の孫のように当時この世に誕生した赤ちゃんは既に走り回っているし、  二年前にハイスクールを卒業した者は、  大学二年生となり、  当時19歳だった者は、  現在21歳の成人となり酒も飲める年齢に達した。  そして二年前は元気そうだった知人の2-3人が他界している。

半年に一回行く美容室には、  それこそ 「あ、 うん」 関係でお互いの思考が通じ、 かれこれ20年近くもお世話になっている気の合った美容師さんのBさんがいるが、  先日ヘアカットに行ったところ、  今年いっぱいで店じまいをし、  二年間休業することにしたそうだ。  コロナ禍の二年間、  客の出入りが減ってもきちんと厚生省による規定に沿って事業を続けたが、  何よりもマスクとシールド着用のまま狭い室内で長時間立ったままヘアドライヤーを使ったりするのは、  息苦しくなり、  元々心臓がそう強くなかっただけに、  加齢と共に体に大きな負担を感じるようになったらしい。  気さくで前向きの姿勢を持ち、  かつ才略のある人なので、 今後も旨くやっていけると確信しているが、  一時の別れはそれでも寂しい。

今年最後のヘア-カットをしてもらったあと、  今後も連絡をとり続けることを約束し、  名残惜しく出口に向かう。  ドアを押し開き、  普段はそのまま駐車してある車までまっすぐ歩いていくが、  今回何気なく後ろを振り返ったら、  私の姿が見えなくなるまで何とBさんがお辞儀をしながら手を振っている。  嬉しさと寂しさを感じながら、  視界が涙でぼやけながらも私もちぎれんばかりに手を振った。  来年こそ事態が収まっていますように、  そして早く二年が過ぎますようにと願いを込めながら。

 

随筆日:  11・30・2021
改訂日:  12・7・2021、 12・20・2021
投稿日:  12・21・2021
ウエッブ掲載: 12・21・2021

 

板橋恵理=関東地域で生まれる。家族の転勤と学校のため、幼年期から現在にいたるまで、日本ーヨーロッパー日本ーアメリカで生活する。現在は、アメリカ人の夫と老猫とロサンゼルスに在住している。趣味のひとつである太鼓にはまり、5年がたつ。老猫の名前もタイコ。

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