投稿日2021年10月24日、ロサンゼルスにて、板橋恵理
(ウエッブ掲載日:2021年11月4日)

最近テレビやネットのニュースで、  何十隻もの大きな貨物船が高く積み上げられたコンテナを乗せたまま、 ロサンジェルスやロングビーチ港周辺の沖を漂っている映像や写真を目にするようになった。  港で貨物が積み上げられているコンテナを下ろせない状態で、  例えば九月の初期に出航し、 十日間後に入港した貨物船が今現在も貨物を下ろせず、  航海日数より長く港で漂っている始末だ。

港での人手不足、 或いはストライキかと思いがちだが、  港からあちこち荷物を目的地ヘ届ける運転手のいないトラックが何台も駐車し、 荷物を運送できない状態にあるのが理由のひとつだそうである。  コロナ禍前後より運送会社は運転手不足であり、 その理由はまずトラック運転の訓練を受けねばならぬこと、 そして例え訓練を無事終了しても、 DMVでの免許手続きが何カ月も遅れているそうだからだ。  更に、 品の梱包や配達の手続きをする倉庫も人手不足の状態で受領と発送をさばけない。 私が以前勤めていた会社でも、 海外から発送された品を倉庫がさばきれず、 関連部門の管理職の上の人達が自ら倉庫に出向き、 週末も手伝いに足を運んだくらいだ。

もうひとつの理由は、 特にコロナ禍中に在宅勤務やら在宅授業生活をせねばならなくなった人々が、  頻繫に(ネットで) 色々な物を購入し始め、 需要が供給を遥かに上まってしまっているからだ。  これにより品不足が発生し、 物に依っては来年もこの状態が続くだろうと見られている。  例えばアメリカで売られている玩具の80%は中国製であるが、 中国でもコロナ禍前後、  製作所や倉庫などでのシャットダウンもあり、 更に電力節約やら制限も行い、  Supply Chain に大きな影響を及ぼしている。  実際アメリカでも 玩具、 スマホ、 その他電気関係の品や部品、 かつ構成部品など、 ありとあらゆる品不足があちこちの店、 スーパー、 レストラン等で発生しているらしい。 車に使われているコンピューター関係の電子部品も不足している。  これらを例え無事入手出来ても価格が上がるのは目に見えている。  玩具や衣類などはまだしも、 中国以外の国から輸入される必需品、  例えば医療器具や薬品などが不足したり配達送れとなるのも困るだろう。

年末年始を目の前にし、 人々の品を購入する頻度も増えていくだろうが、 実際手元に届くのはクリスマスや元旦を過ぎてしまうかもしれない。  今から早目に注文する人もいるが、 皆同じ考えを持って行動するだろうから、 結局は配達が送れるか、  高い値段を払うことになるか、 両方だろう。 Amazon、 Federal Express、 UPSとそれぞれ倉庫と運送、 そして注文を承る管轄所にて十万人前後の人を雇う計画だ。  郵便局は、 配達が今以上遅れることを既に公表している。

年末年始に関係なく品不足、  或いは品切れと分かると、  「だから今注文しておかないと」と更に買い求めるようになるのが人間の心理だ。  コロナワクチンが出回れば、  又元の経済と社会生活に戻れるだろうと単純に思っていたが、  現状は解消に当分時間がかかりそうだ。

随筆日: 10/14/2021
改訂日: 10/20/2021、10/23/2021、10/24/2021
投稿日:  10/24/2021
ウエッブ掲載日: 11/04/2021

 

板橋恵理=関東地域で生まれる。家族の転勤と学校のため、幼年期から現在にいたるまで、日本ーヨーロッパー日本ーアメリカで生活する。現在は、アメリカ人の夫と老猫とロサンゼルスに在住している。趣味のひとつである太鼓にはまり、5年がたつ。老猫の名前もタイコ。

板橋恵理のカリフォルニア人間観察(エッセイ一覧)