The Broad

The Broad museum, on Grand Avenue in downtown Los Angeles; photo by Iwan Baan, courtesy of The Broad and Diller Scofidio + Renfro

写真=ロサンゼルス・ダウンタウンのグランド・アベニューに建設されたザ・ブロード美術館。Photo by Benny Chan(ザ・ブロード美術館およびディーラー・スコフィディオ+レンフロ提供)

LAの新しい現代美術館、ザ・ブロードがダウンタウンにオープン!

ロサンゼルスで最も新しい現代美術館、ザ・ブロードが2015年9月20日に一般にオープンしました。オープンを記念して250点以上の現代美術の傑作が展示され、その特徴的な建物はダウンタウンの新しいランドマークとなるでしょう。入場料は無料です。

ザ・ブロードは、慈善家であり長年にわたる美術品収集家でもあるエリ&エディス・ブロード夫妻が設立しました。開館時間は火曜から日曜までの週6日間、計47時間で、世界的に有名な現代美術コレクションから選ばれた作品が一般に公開されます。日時を決めて訪問したい場合は、オンラインで無料の入場チケットが入手できます。

ザ・ブロードはグランド・アベニューに面しており、セカンド・ストリートをはさんでウォルト・ディズニー・コンサートホールに隣接しています。大手設計事務所ゲンスラーとの協力で建築デザインスタジオのディーラー・スコフィディオ+レンフロが手掛けたその斬新な建築は、収蔵されている約2,000点の現代アート作品を展示するにふさわしい美術館です。

ザ・ブロードは建築と展示作品に関する音声、動画、文字情報を盛り込んだモバイル機器向けアプリも提供しており、アップルとAndroidベースのスマートフォンまたはWi-Fi対応機器に、無料でダウンロードできます。詳細情報はthebroad.orgでご覧下さい。

「エディスと私はこの美術館が一般公開されるのを大変喜んでいます」とエリ・ブロードは述べています。「すべての人々が現代美術を鑑賞できるよう、私達はコレクションを構築し、この美術館を建設しました。世界一流の文化施設がいくつも集まるグランド・アベニューほど私達のコレクションと美術館にふさわしい場所は考えられません。」

加えて、ザ・ブロードの創立ディレクターであるジョアン・ヘイラーは次のように述べています。「何年間にもわたる計画を経て、エリとエディスがロサンゼルスに提供してくれた美術館をオープンすることを、大変喜んでおり、建物自体がアート作品である新しい建築ランドマークの中で、私達の現代美術コレクションを一般の方々に鑑賞していただくのを、とても楽しみにしています。」

ブロード・コレクションの包括的な年代順展示

オープンを記念する展示として、ジョアン・ヘイラーは、ブロード・コレクションを包括的に年代順に鑑賞できるよう、約60人のアーティストによる250点以上の作品を選びました。

展示は、美術館3階にあるメイン展示ギャラリーから始まり、まず1950年代から1990年代までの作品が展示されています。例えばジャスパー・ジョーンズやロバート・ラウシェンバーグなどのアーティストの作品や、アンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタインによる代表的なポップアート作品などが鑑賞できます。これに続いて、ニューヨークのイースト・ヴィレッジとソーホーで生まれたアート作品が集中的に展示されています(ジャン=ミシェル・バスキア、シンディー・シャーマン、ジェフ・クーンズをはじめとするアーティストの作品群は、他と比較にならない程、充実しています)。

次に1990年代の作品が続き、例えばグレン・ライゴン、アンドレアス・グルスキー、ジュリー・メーレトゥの作品などが展示されています。ブロード夫妻が社会的および政治的な内容を含むアート作品を継続的に収集していることは、デイヴィッド・ヴォイナロヴィッチ、キャディ・ノーランド、カラ・ウオーカー、アンゼルム・キーファー、マイク・ケリーなどの作品が証明しています。

1階のギャラリーには主に2000年代初めから現在までに制作された作品が展示され、ロサンゼルスで初めての展示となる、最近入手した重要な作品も含まれています。例えば、草間弥生の巨大な「Infinity Mirrored Room ? The Souls of Millions of Light Years Away」(2013)、ロバート・ロンゴの木炭画「無題」(ファーガソン警察、2014年8月13日)、ラグナル・キャルタンソンの360度、9画面からなる映像展示「The Visitors」(2012年)などが挙げられます。

「開館当初の施設がこれほど広大であり、個々のアーティストに関してこれほど充実した収蔵品を持つ美術館はほとんどありません。」とヘイラーは述べています。「この展示はブロード・コレクションの全貌を垣間見る機会となり、このため来館者は新たな展示や入手作品、またテーマを掘り下げた特別展を見ようと、その後何度もここを訪れることになるでしょう。」

ブロード・コレクションと建物の設計に関するカタログは9月20日に発売されました。これらのカタログは、ジョアン・ヘイラーがエド・シャド、チェルシー・べックとともに編集し、プレステル社が出版しています。「The Broad Collection」では、文化人、著述家、学芸員など多くの人々がブロード・コレクションの最も著名な一部のアーティストについて、それぞれ様々な考えを述べています。

例えば映画監督ジョン・ウォーターズ、音楽評論家グリル・マーカス、小説家シリ・ハストヴェットなども寄稿しています。「The Broad: An Art Museum Designed by Diller Scofidio + Renfro」は、この美術館を建築のランドマーク、および国際的な文化の目的地として考察し、建築評論家のポール・ゴールドバーガーが議論をリードした円卓会議(イラスト入り)と、批評家で作家のアーロン・ベツキーによるエッセーを通じて、その歴史、背景、およびロサンゼルス・ダウンタウンに及ぼし得る影響を探っています。

革新的なランドマークにより、グランド・アベニューの芸術と建築は更に発展

ゲンスラーとの協力でディーラー・スコフィディオ+レンフロが設計した12万平方フィート(約11,150㎡)、3階建ての美術館は、ブロード・コレクションのほぼすべてを収蔵しつつ、1階には1万5,000平方フィート(約1,400㎡)、3階には柱がない3万5,000平方フィート(約3,250㎡)の展示スペースを確保しており、スカイライトと窓から、フィルターを掛けたような自然光が差し込む設計になっています。「ベールと保管庫」と呼ばれるこの美術館の設計は、展示スペース、および広範に及ぶ作品貸出活動を支えるコレクション収蔵庫という、この建物の鍵となる2つの役割を融合させています。

アート作品の貸出や美術館の作品保管方法を問い直す姿勢など、ブロード美術財団の広範囲にわたる活動の重要性を踏まえ、この美術館の設計はアート作品の保管を前面に打ち出して、コレクションの代表的作品を建物のまさに中心部分に収蔵しています。来館者はどこにいても、建物の中ほどに浮かぶ大きな「保管庫」の存在が視界に入ります。その曲線を描く底面は、階下のロビーと鑑賞順路を形成しています。

「保管庫」と対照をなすのは「ベール」であり、これは多孔状、つまりハチの巣のような外部構造を指しています。これは1ブロックの長さがある建物全体を包んでおり、この構造物を通った自然光はフィルターがかけられたような光になって内部に差し込みます。このベールは、正面入口がある建物角部分で引き上げられた格好になっており、来館者はここから賑やかなロビーとギフトショップに入ります。来館者はその後、保管庫をくり抜くように走る全長105フィート(約32m) のエスカレーターに乗って上方の光に向かって進み、3階の展示スペースに到着します。その後、保管庫を貫く形で設置されたらせん階段で階下に降りる際には、保管エリアの覗き窓から、膨大なコレクションを垣間見ることができます。

「私達は、美術館のキュレイトリアル(作品の研究、管理、収蔵等)な機能を、目に見える形で前面に押し出すことにより、美術品収集機関としての美術館の仕事を称えることを目指しました」と、ディーラー・スコフィディオ+レンフロの最高責任者エリザベス・ディーラーは述べています。「私達がベールと呼ぶ多孔状の外骨格構造物により、フィルターがかかった自然光がパプリックスペースと展示スペースに流れ込むようになっています。」

グランド・アベニューには既に、ウォルト・ディズニー・コンサートホール、ロサンゼルス現代美術館(MOCA)、3つの劇場からなるミュージックセンター、コルバーン・スクール、天使のマリア大聖堂、ラモン・C・コーティネス・スクール・オブ・ビジュアル・アンド・パフォーミング・アーツなど、多くの著名な施設が集まっていますが、これにザ・ブロードが加わることにより、世界的な一流文化都市の1つとしてのロサンゼルスの地位は揺るぎないものになり、ダウンタウン・ロサンゼルスの再活性化にも寄与することでしょう。エリ&エディス・ブロード夫妻は30年以上にわたり、ダウンタウンの再活性化を支援し続けています。

ダウンタウンに活気と楽しさを

ブロード・コレクションに内在する多様なテーマの精神に基づいて、この美術館は収蔵作品アーティストのアイデアと創作プロセスに関われるようなパブリック・プログラム(教育普及活動)を提供する予定です。このプログラムは、映画、講演、パフォーマンス、音楽などを使ったものになるとみられます。収蔵品のアーティストが現代のビジュアルおよびパフォーミング・アーティストに及ぼした、そして現在も引き続き及ぼしている影響に光を当てるため、ザ・ブロードのパブリック・プログラムは、ブロード・コレクションを新しい視点から捉えることを企画しています。

ザ・ブロードの開発において、グランド・アベニューの街並み美化と公共施設の建設は不可欠な要素となっており、その一環として、樹齢100年のバロウニ・オリーブの木立と傾斜のある芝地で造園された2万4,000平方フィート(約2,230㎡)のパブリック・プラザが整備されています。1ブロックの真ん中を横切っている新しい通路と植栽された中間分離帯は、グランド・アベニューの西側にあるザ・ブロードと、東側のMOCAおよびコルバーン・スクールとを結んでいます。そして、対をなす広々とした階段とエレベーターは、プラザと、セカンド・ストリートに計画中のリージョナルコネクターのホープ・ストリート駅を結んでいます。

プラザの西端には、ビル・チャイトとシェフのティモシー・ホリングワースが手掛ける新しい独立型店舗レストラン、オティウム(Otium)が2015年秋にオープン予定です。ロサンゼルスで生まれ育ったチャイトは、不動産開発とレストランの運営で知られており、全米で高く評価されているテスト・キッチン、リパブリーク、ベスティアなどを運営しています。シェフのティモシー・ホリングワースは以前、ナパ・バレーのザ・フレンチ・ランドリーで料理長を務めていました。オティウムは都会の洗練と田園の純朴さの両方を取り入れた折衷的な料理を提供し、薪を使うロティサリーオーブン、中2階の庭、オープンキッチンを利用して、屋内と屋外のスペースを融合させています。

このエリアへの来訪者向けに、ザ・ブロードは地下に15万5,000平方フィート(約14,400㎡)、3階建て、収容台数344台の駐車場を建設しました。ここには電気自動車と自転車の専用スペースも設けられています。

ザ・ブロードについて

ザ・ブロードは、慈善家のエリ&エディス・ブロード夫妻がロサンゼルス・ダウンタウンのグランド・アベニューに設立した新しい現代美術館です。大手設計事務所ゲンスラーとの協力で建築デザインスタジオのディーラー・スコフィディオ+レンフロが設計したこの美術館は、2015年9月20日(日)にオープンし、入場料は無料です。ここにはブロード・コレクションの代表作2,000点が収蔵されています。同コレクションは、戦後および現代アートの収集で世界的に最も傑出したコレクションの1つです。「ベールと保管庫」という革新的なコンセプトのもとで建築された床面積12万平方フィート(約11,150㎡)、総工費1億4,000万ドルの建物は、ブロード夫妻の広範囲にわたるコレクションを展示できるよう、2フロアにわたり展示スペースを設けており、ブロード美術財団による世界的な作品貸出活動の拠点となります。

来館案内

ザ・ブロード(The Broad)

住所:221 S. Grand Ave.

Los Angeles, California 90012

URL: www.thebroad.org

Tel: 213-232-6200

 

開館時間

火・水:11:00~17:00

木・金:11:00~20:00

土:10:00~20:00

日:10:00~18:00

休館日:毎週月曜、感謝祭、クリスマス

 

チケット

ザ・ブロードの入館は無料です。来館予約の必要はありませんが、オンラインでの事前予約をお勧めします。日時を決めて訪問したい方、混雑時の待ち時間を避けたい方のために、ザ・ブロードではオンラインで時間指定チケットの事前予約を無料で行っています。チケットには30分毎の入館時間が記載されます。無料チケットはウェブサイトwww.thebroad.org/ticketsで予約できます。当日チケットまたは事前予約チケットは美術館でも入手できます。

美術館オープンを記念して、草間弥生のInfinity Mirrored Room ?The Souls of Millions of Light Years Awayが展示される予定です。これは合わせ鏡の部屋に、無限に存在するように見える、煌めくLEDライトをディスプレイした作品です。美術館1階に展示されるこの実験的アート作品には入場制限があり、1人ずつ入場し、1人当たり約45秒の鑑賞となっています。この作品の鑑賞には、時間指定の無料チケットが別途必要で、一般入場チケット保有者は入館後に予約できます。

(出典=ロサンゼルス観光局・ロサンゼルス国際空港アジア・パシフィック事務所)