ロサンゼルス日系社会の福祉:高齢者同士の助け合いが必要:高齢者施設に入れない低所得者:長島幸和さんが羅府新報コラムで問題を提起
ロサンゼルスの日本語新聞「羅府新報」 2023年11 月9日掲載
磁針 「高齢者ネットワーク」 長島幸和
ロサンゼルスに住む日系の高齢者のために今最も必要な施設はなんだろうか。先日メリノール日系カトリックセンターで実施された「日系ヘルスフェア」で医療相談を受けた友人と話していて、そんな話題に話が発展していった。ヘルスフェアは「高齢者を守る会」と「日系医師会」が共催したが、その高齢者を守る会が日系の高齢者のための施設の建設を目指して運動を進めていることから、そんな話になったのだ。
ロサンゼルスには現在、日系の高齢者のための施設がいくつかあるが、費用面で、そこに入るのが難しい人たちは少なくない。私も友人もそんな1人である。日系ヘルスフェアに足を運んだ人たちの中にも、そういう人がそれなりにいたことは間違いないだろう。戦後渡米医者のうち比較的新しい「新1世」も、60、70の年齢に達し、離婚や伴侶の死去で一人暮らしをしている人も多く、経済面だけではなく、精神面でサポートを必要としている人たちもけっこういるようだ。
あれこれ話していて、友人と深く同意したのが「高齢者ネットワーク」の必要性だった。比較的低所得の人たちが入居できる日系施設が現在ないのなら、少なくとも、一人暮らしの高齢者同士が日常生活のレベルで助け合うネットワークを作り、自分たちを守る。体調が悪くて買物に行けない、料理ができない、医者にも行けない、そんな時ひょいと来てくれるような人同士の助け合いのネットワーク。時には、生死を分かつ問題である。実は、友人自身が転んで動けなくなった際、知人に助けてもらったことがあることから、こうしたネットワークの必要性を痛感したのだった。
県人会の中には、高齢者に手を差し伸べる活動をしているところもあるが、決まった行事の時などだけ。また、高齢者がメンバーとなって活動している団体もあるが、日々の生活上の活動は限られているようだ。
具体的にどのようにしたらこうしたネットワークを作ることができるだろうか。また、誰かに力を貸してもらうことはできないだろうか。友人との話はどんどん続いていくのだった。(長島幸和)
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