今日は、アメリカで詠まれた新年の句をいくつか紹介します。
古いものは一九三○年代の作品もあります。
じっくり味わっていただき、心に響く句があれば嬉しく思います。


初国旗掲げて我も老市民

去年今年今も二つの吾が祖国

初凪やキャタリナ通ふ船煙

故郷の賀状漸く来りけり

日本よりつきし埠頭の初荷かな

祖国まだ知らぬ吾子なり手毬歌

七種にアメリカの芹日本芹

アメリカの納めの屠蘇を酌み交わす

賀状書く寂しき思ひ新たなり

初刷に書かまし帰化の心境を

初レニア仰ぐ瞼に国の富士

お年酒や帰化せぬ吾に故郷あり

屠蘇の酔覚めゆく街は異国なる

国々の言葉美し御慶かな

元日や我に始まる一家系
 
                                                                                                                         
嶋幸佑(しま・こうすけ)ロサンゼルス在住40年余。伝統俳句結社の大手「田鶴」(宝塚市、水田むつみ主宰)米国支部の会員。

今から百年ほど前、アメリカに俳句を根付かせようと、農業従事者や歯科医など各種の職業に就いていた日本人の俳人らが、日本流の風雅を詠うのではではなく、アメリカの風俗・風土の中に、自分たちの俳句の確立を目指した。

このコーナー「嶋幸佑のアメリカ俳句鑑賞」は、そうした先人の姿勢を、現在に引き継ぐ試み。今でも多種多様な職業の人たちがアメリカで俳句を詠んでいるが、それぞれの俳句の、いわゆる「アメリカ俳句」としての立ち位置にも迫る。

このコーナーの感想は、editor@culturalnews.com へ送ってください。