2021 / 世羅先生と古典を読む会、第13回 「源氏物語」講義、宇治十帖物語、第二章「椎本」(しいがもと)、8月18日

ロサンゼルスのカルチュラル・ニュースは、世羅博昭先生(国語教育者、広島市在住)によるオンライン講座「世羅先生と日本の古典文学を読む会」を2020年7月から毎月第3水曜日に開催しています。現在は「源氏物語」の中から「宇治十帖」を取り上げて、原文を読んでいます。

日本の古典文学の勉強は①現代語訳を使っての理解、②作品の一部を取り上げて、その部分を詳しく解説をする - の二つの方法が一般的でした。

世羅先生の教授法は、作品全体のストーリーの理解から入り、その作品の全文、あるいは、ひとつのまとまったストーリーを原文で読んでいくという方法です。世羅先生は高校生に古典文学を読み解く力をつけるための授業を20年間行い、その後、大学教授になられました。

世羅先生が40年間にわたって蓄積された綿密な教材を使って、1000年以上前の古典文学を読んでいきます。

「世羅先生と古典を読む会」は1回の参加費が30ドルですが、無料体験をすることができます。この「源氏物語」を原文でよむオンライン講座に参加してみたい方は、カルチュラル・ニュース編集長、東繁春 higashi@culturalnews.com  へ連絡ください。8月18日のZoom Meeting のリンクをお知らせします。

世羅博昭先生のオンライン講義

「源氏物語」(宇治十帖物語)を読む(13)
第二章「椎本」③大君に恋心を訴える薫、喪服姿の姉妹を垣間見る

8月18日、水曜日、午後6時(ロサンゼルス時間)8時まで
日本時間=8月19日、木曜日、午前10時から正午まで

13回ロサンゼルス「源氏物語を読む会」の概要

前回は、配布資料12枚のうち6枚目までしか進みませんでした。

宇治の八宮が亡くなった後、宇治の姫君たちはすべてに頼ってきた父を失い、深い悲しみに沈みながら喪に服しています。旧暦10月、薫は宇治を訪れ、二人を懇ろに慰めて帰ります。冬も深まり、雪や霰の降る日々が続く中、宇治の姫君たちは寂寥の日々を過ごしているところへ、阿闍梨が毎年恒例の品を姫君たちの所に届けさせて見舞います。傷心の大君と中君は、悲しみのなか、歌を読み交わします。

新年になってからでは訪問も難しかろうと思った薫は、年末、宇治を訪ねます。雪も降り積もり、並の人さえ来ない中を、高貴な薫がわざわざ宇治を尋ねてくれたので、姫君たちはいつもより丁寧に薫の接待をします。以前よりは言葉数も多く、自然で気品のある大君の風情に、このままでは済むまいと思いながら、自分の心の変化に気づく薫でした。(資料6枚目の途中まで)

今回は、その薫が、匂宮を「だし」にしながら、大君に対する恋情を遠回しにではあるが、初めてほのめかす場面と、年明けて再び宇治を訪れた薫が大君と中君を覗き見して、薫の大君に対する思いが確かなものになる場面を読んでいきます。道心のために宇治を訪れていた薫が、八の宮の死後に、次第に「恋心」のために宇治を訪れるようになっていく「変化」を作者がどのように描いていくのかに目をつけて読んでいきましょう。