ロサンゼルスのカルチュラル・ニュースは、世羅博昭先生(国語教育者、広島市在住)によるオンライン講座「世羅先生と日本の古典文学を読む会」を2020年7月から毎月第3水曜日に開催しています。現在は「源氏物語」の中から「宇治十帖」を取り上げて、原文を読んでいます。
日本の古典文学の勉強は①現代語訳を使っての理解、②作品の一部を取り上げて、その部分を詳しく解説をする - の二つの方法が一般的でした。
世羅先生の教授法は、作品全体のストーリーの理解から入り、その作品の全文、あるいは、ひとつのまとまったストーリーを原文で読んでいくという方法です。世羅先生は高校生に古典文学を読み解く力をつけるための授業を20年間行い、その後、大学教授になられました。
世羅先生が40年間にわたって蓄積された綿密な教材を使って、1000年以上前の古典文学を読んでいきます。
「世羅先生と古典を読む会」は1回の参加費が30ドルですが、無料体験をすることができます。この「源氏物語」を原文でよむオンライン講座に参加してみたい方は、カルチュラル・ニュース編集長、東繁春 higashi@culturalnews.com へ連絡ください。10月20日のZoom Meeting のリンクをお知らせします。
+
世羅博昭先生のオンライン講義
第15回ロサンゼルス「源氏物語を読む会」
第47帖「総角」(あげまき)第2回
10月20日、水曜日、午後6時(ロサンゼルス時間)8時まで
日本時間=10月21日、木曜日、午前10時から正午まで
第15回ロサンゼルス「源氏物語を読む会」の概要
前回は、第47帖「総角(あげまき)」の第1回目でした。薫は、故宇治の八の宮が亡くなって1周忌を迎える前に宇治を訪れます。次第に夜が更けていく中で、薫は西廂に、屏風と御簾を隔てて、大君は故八の宮のいた仏間にいます。
だんだんと灯明の火が油切れで暗くなり始めます。大君は、疲れたので奥の部屋で休みたい、明日朝早く、またお話しましょうと言って、その場を去ろうとします。その気配を感じた薫は、我慢しきれなくて、ついに、屏風と御簾を押し開けて入り、大君を引き留めて、これまでの大君に対する恋慕の情を語ります。
大君は、そんな薫をうとましく思います。薫は大君に寄り添い臥しますが、それ以上手を出さないで、やがて朝を迎えます。ここまで読んだところで、時間となりました。
今回は、このような物語を読んでいきます。事が成就しなかった薫は空しく京に帰ります。1周忌が終わった後、薫は宇治をまた訪れます。大君は対面を拒み、中君との結婚を薫に勧めます。
その夜、薫は姫君のいる部屋に侵入しますが、それを察知した大君は屏風の後ろに隠れます。そうとは知らない薫が迫ったのは中君でした。薫は何もしないで、中君と夜を明かします。
事がうまく運ばなかった薫は、宇治の姫君に逢いたいと思っている匂宮と中君を結婚させれば、大君が自分の思いを受け入れてくれるだろうと考えて、8月末、匂宮を伴って宇治にやってきます。うまく中君と匂宮を逢わせておいて、自分は大君に迫りますが、今回も思いを遂げることがでませんでした。
今回は、薫と大君との思いの「すれ違い」に着目して、読んでいきたいと思います。ご期待ください。