5月3日、リトル・トウキョウにある日米文化会館のアラタニ劇場で、1989年制作「ゴジラ対ビオランテ」が上映され、この映画の特撮監督を務めた川北絋一氏の話もあります。
映画「ゴジラ対ビオランテ」の上映
2014年5月3日(土曜日)
午後3時から 英語吹き替え版の上映
午後6時から 日本語版、英語字幕付きの上映
特別イベント=ミニチュア特撮実演、マーベリン・ファイン・アート代表・岩崎憲彦氏
アラタニ劇場 (JACCC, 244 South San Pedro Street, Los Angeles, CA 90012. (213) 628-2725) / 12歳未満は無料 / 12歳以上は12ドル
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川北絋一・特撮監督とマーベリン・ファイン・アート代表・岩崎憲彦氏 短編映画「粘土の神様」上映
2014年5月3日(土曜日)
午後9時から Anime Jungle, 319 East 2nd Street, #103, Los Angeles, CA 90012
入場無料、先着150人まで
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大阪に本社のある有限会社「ジャングル」の副社長で、アメリカ事業部の代表、塩田哲也さんの話
リトル・トウキョウで、日本のアニメや特撮の商品を販売する「アニメ・ジャングル」を経営して13年になりますが、このリトル・トウキョウという街のもつ、潜在的価値が‘どれだけ大きいかを、痛感するようになりました。日本の文化や、新しいサブカルチャーを好きなアメリカ人にとって、この街、リトルトウキョウは、特別な街なのです。しかし残念ながらそのことは、日本のメーカーや、日本の小売業者には、知られていないのが現状です。
日系人が大事に守ってきたリトル・トウキョウですが、日系社会もまた人口が減りつつある中で、日系人にとっても、この街の存在価値が大きく変わりつつある事も確かです。つまり、リトル・トウキョウを、日系人の故郷という意味だけではなく、そこには、アニメや特撮のような日本のサブカルチャーを発信できる街にすることができるのでは、と私は考えました。そこでアメリカ人に一番知名度があり年齢層を超えて人気のある日本の作品“ゴジラ”がこの街を救ってくれると考えました。
この街で小売店を13年やってきた私が、自分の私利私欲ではなく、このリトル・トウキョウのために、何が自分に出来るかを考えたあげくに、出た答えでした。 そしてこのゴジラをリトル・トウキョウに呼ぶ企画を、リトル・トウキョウで100年以上も続く和菓子屋「風月堂」の三世経営者、ブライアン・キトウさんに話したところ、、私が考えていることをすでに行なった人物がいることを知らされたのです。
その人は、カワタラニ・ユキオさんという二世で、ロサンゼルス市再開発局の都市計画作りを、仕事にされていた方でした。彼のお話を聞いた時に私は驚愕しました。なぜなら私が考えたビジョンをすでに18年前、形にしていたからでした。1996年に、すっかりビジネスが冷え込んで客がすくなったリトル・トウキョウを活性化するために、臨時にリトル・トウキョウ・オポチュニティー・コミティーができていたのでした。当時、ロサンゼルス市再開発局を引退したばかりだった、カワラタニさんは、再開発の仕事をしていた経験から、このコミティーに呼ばれ、参加しました。カワラタニさん自身は、ゴジラ映画は見たことがなかったのですが、コミティーの多くのメンバーが、ゴジラがリトル・トウキョウの活性化に役立つと言い出し、ゴジラを呼ぶための代表になったのでした。
カワラタニさんは、何のコネもない、日本の東宝にいきなり連絡をして、彼のプランを説明したのです。二世ウィークのパレードでは、ゴジラをオープンカーに乗せて披露する。ゴジラ映画フェスティバルの開催、リトル・トウキョウの植木をゴジラ、ギドラ、ロダンの形に剪定したり、ビルの壁にはゴジラを描き、リトル・トウキョウに建設が予定されている地下鉄駅の構内は、ゴジラ色で統一をする、という内容でした。
このプランは、東宝の当時の会長をつき動かし、1996年の二世ウィークには、ゴジラが登場したのです。ゴジラ映画祭が開催され、ゴジラは、ロサンゼルス市庁舎に、リオダン市長を表敬訪問しました。そしてこのことは、ロサンゼルス・タイムズが大きく報道するところとなりました。
私は、リトル・トウキョウには、アメリカで最大の日本情報の発信基地になる可能性があることを確信しています。それは、リトル・トウキョウに新しいビルを作るということではなく、今、すでに行われているような、日本の素晴らしい商品を販売する小売店を増やすことや、日本文化を発信するイベントを続けることなのです。日本テーマの商業地区としてリトル・トウキョウが存在することこそが、この街の存在価値であり、実は、そのことは過去から今まで、行なわれてきたことなのです。
私は日系人の方がどのような思いでこの街を守ってきたかを知りませんでした。カワラタニさんの話を聞いたとき、私達のような最近ロサンゼルスに来た日本人が、日系人の想いを受け継ぎ、リトル・トウキョウを守っていく事、カワラタニさんらの意思を引き継ぐことこそが、私達、日本人の使命でもあると思うようになりました。
ゴジラの企画によって、私はカワラタニ・ユキオさんに出会えた事を心から嬉しく思います。2014年5月3日のゴジラ上映会は、来年も続けたいと考えています。そして恒例化して行くことで、リトル・トウキョウのゴジラ・イベントが、100年後には、日本とアメリカを結ぶ、大きなイベントになることを願っています。