随筆日:2022年12月、ロサンゼルスにて、板橋恵理
ウエッブ掲載日:2023年2月18日

 

今冬、カリフォルニアにしては珍しい雨が降り、 地域に依っては 「storm warning」 の警報も出て、  土砂崩れやら道路閉鎖の不安もあったかと思ったら、 翌日はからっと晴れ、 典型的なカリフォルニアの青空が広がっている。

雨が降った日は、 皆ダウンジャケットやらブーツ、 帽子やマフラーで身を包み、 寒さをしのいだものだが、 雨があがれば、  ティーシャツやサンダル格好の買い物客で店が賑わっている。 どの店へ足を運んでも、 お馴染みのクリスマスの曲や歌が繰り返し繰り返し店内に流れ、 聞き飽きてしまう。 なのに帰途に就く車内で、 何気なくそのメロディーを口ずさんでいる有り様だ。

店内でさっきすれ違った人は、 いかにも冬らしいセーターにマフラー、 ブーツ姿だったが、 今前からカートを押してくる人は、 半袖のティーシャツにジーンズ、 サンダルという格好で、 サンダクロースの赤い帽子を被っている。 夏と冬が混じった風土がいかにもカリフォルニアらしい。 そしてそれを何とも不思議に思わなくなったのも、 カリフォルニア生活が長くなっている証拠だろう。

毎年サンタクロースの恰好で、マラソンやらサーフィンコンテスト、 ボートパレードに参加するイベントなどがあちこち設けられらるのも、 いかにもカリフォルニアらしい。 サンタクロースは、 もはや北極だけでなく、 あちこちに住まいがあるのかもしれない。

私は特にクリスマスを祝うわけではないが、 学校やら多くの職場が冬休みに入るということで、 普段会えない友人達に会ったりするのを心待ちにしている。 冬休みに入る前から、 友人達に連絡をとり始め、会う日を決め、 それをリビングルームの壁にぶら下げているカレンダーに書き込んでいく。 携帯カレンダーに入力するより、 実際カレンダーに書き込み、 日が埋まっていくのを見るのが楽しい。  明日はAさんとランチ、翌日はBさん宅でお互いの旦那も含めてポットラックディナー、来週はCさんと散歩がてらお茶をという具合にだ。その中で、毎年の健診の予約などもちょこちょこ入れていく。

予定がない日は、夕方になると旦那と近所を散歩し、クリスマスのイルミネーションで飾られた家やら庭をゆっくり見ていく。あの家のイルミネーションは、けばけばしいやら、あそこの家の飾りは落ち着いていて素敵だとか、勝手に批判したり褒めたりしながらジャケット一枚で外を歩けるのも、カリフォルニアだからこそだろう。

クリスマスイブには、旦那とロス郊外にある旦那の姪っ子宅にお邪魔し、早い夕食を共にするのが習慣となっている。一年に一回の割合でしか顔を合わさないせいか、姪っ子の息子二人の成長ぶりには毎回驚かされる。

そして翌日のクリスマスには、家でゆっくりくつろぎ、夕食はチャイニーズのテイクアウトと決まっている。この決まっているという意味は、どこもかしこも閉まるクリスマスの日、唯一開いているのがチャイニーズレストランだからである。クリスマスとうのを言い訳に、二人とも料理はせず、この日だけは普段食べないチャイニーズポークチョップやら炒飯などを注文するのだ。

レストラン内は、家族らしい人達で賑わっていて、テイクアウトの列も結構長い。まさにカリフォルニアでのクリスマスの光景なのだ。

 

随筆日:2022年12月
改訂日:2022年12月
投稿日:2022年12月
掲載日:2023年2月