板橋恵理のカリフォルニア人間観察:日付け管理

2021年6月17日、ロサンゼルスにて、板橋恵理

過去十五か月間コロナ禍が人々の生活に大きな影響を与えたせいか、  規定解禁となった今現在も「コロナ前 (Before Corona)」、  「コロナ中 (During Corona) 」、  そして「コロナ後 (規定解禁後; After Corona)」と、  会話の中で日付けをコロナ基準に、 物事を使い分けている人達を廻りに見聞きするようになった。  例えば 「最後にXさんと会ったのはコロナ前の二月」 とか、  「Yさんとこに赤ちゃんが生まれたのはコロナ中だった」 やら、  「家の改築をコロナ後ようやく始める」 などだ。   「コロナ。。。」 という一語だけで時期も分かるようになったくらいだ。

私は普段より億劫で面倒くさがり屋だが、  幸い母に似たのは日付けの管理は結構マメにきちんとやる点だ。  母は家族や親類のみでなく、  親しい友人や知人の誕生日や冠婚葬祭も自分の手帳やカレンダーにきちんと記入し、  その日の何日か前、時には何週間も前よりカードを用意し送っていた。  アメリカ生活中、英語で苦労している自分達に色々と親切にして下さったご近所の方が亡くなった翌年、母は辞書を引きながらカードにたどたどしい英語でお悔やみの言葉を書き、姉か私に見たり直してもらいながら花と共に残された未亡人宅を訪れた。その心ずかいに感動したご婦人は、涙声で「Thank you」と何度も言い、母を強くハッグしたそうだ。更に、母は違うご近所の子息が結婚したと聞けばやはり早速手帳に記入し、翌年記念祝いのカードを送って喜ばれた。

母は文明開化とは無縁で、 コンピューターどころか携帯も持っていなかったし、持ちたくないと言っていたので何でも自分の手帳やら、あちこちの部屋の壁に貼ったカレンダーに日程を記入していた。私も携帯カレンダーはあまり使わない。人間が古いのか自筆で手帳に記入する方が記憶し易いし、自慢じゃないが、誕生日、記念日、予定、予約など実際よく覚えている方である。先日もテキサス州に住む友人へ、それこそ「コロナ前」に亡くなったご主人の一周忌にカードを送った。

「コロナ中」は続く在宅生活を利用して、冠婚葬祭のみでなく、それ以外の日程と日付けも全部一目で分かる月別一覧表を作成した。例えば 家や車の保険支払いやら旦那と私の運転免許証、パスポート、クレジットカードなどが切れる年月日などだ。毎年定期的な健診、歯医者、眼科へ行く月も記入するのも、例え各医者よりリマインダーが届くと言えど、混まぬうちに事前に予約がとれる態勢を整える為だ。 更にテレビやプリンター、冷蔵庫などの家電を買い替えたり修理に出したりすれば、購入日や修理日も記入したり、 日付けの書いたラベルを貼ったりする。  車のタイアプレッシャーも毎月チェックし自宅にあるエアコンプレッサーでエアーの圧入をしているが、その日も記入する。植物に水をやる日にちも記入する。でないとつい忘れて枯らすことになるからだ。意外にこういう小さな事項の方が、大きい事項より忘れ易いものかもしれない。

先日その一覧表を友人に見せたら、「ワー細かい!貴女は典型的なA型人間ね」と感心された。AだろうがBやO型だろうが、母に似たのだ。母は数年前のコロナ事前に亡くなっているが、コロナ禍中生きていたら、やはりコロナ前、中、後と事項を整理、 記入し、 明確に覚えていたと思う。

随筆日:  6・17・2021
改訂日:  6・25・2021 と7・8・2021
投稿日:  7・9・2021

 

板橋恵理=関東地域で生まれる。家族の転勤と学校のため、幼年期から現在にいたるまで、日本ーヨーロッパー日本ーアメリカで生活する。現在は、アメリカ人の夫と老猫とロサンゼルスに在住している。趣味のひとつである太鼓にはまり、5年がたつ。老猫の名前もタイコ。

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