板橋恵理のカリフォルニア人間観察:ウクライナについて― 真の勇士たち

随筆日: 2022年2月26日、ロサンゼルスにて、板橋恵理
(ウエッブ掲載日:2022年3月5日)

 

コロナ、  インフレーション、  犯罪、  ホームレス、 イミグレーションと、  解決されない問題が充満している中、  最近では、 ロシアのプーチン政権のウクライナ軍事侵攻と戦闘が、 世界を揺るがしている。

プーチン大統領は、 北米やヨーロッパからだけでなく、 ロシア内部でも、 ここ数年間のうちに精神的な支障と衰えが目立ってきていると言われており、  過激の言動に、  「頭がおかしくなってきている」 やら、  「プーチンはクレージー (crazy) で、 Mad Man、Devil だ」 と公言する政治家や市民も大勢いる。  確かにこの21世紀に、  軍力で国を抑えようとしている独裁的な行動は狂っているし、  起こってはならない。 これが第3次世界大戦に展開せねばと、  心配されながら、  毎日実況が実際テレビの画面いっぱいに繰り広げられている。

ウクライナは、  NATO(The North Atlantic Treaty Organization北大西洋条約機構)の加盟国でない為、アメリカを始め、他の30か国からの軍事支援を受けられない。 それをあらかじめ狙ってか、   首都のキエフを侵攻することで、  ウクライナ政権を潰し、 1990年以前のソビエト連邦共和国を再建させるのが、  プーチンの企みではないかと心配されている。  市民への攻撃はないと最初は発しながらも、  実際ロシアの軍隊は無差別にアパート、  住宅地、 学校、  病院、 ショッピングモール、記念館など次々に空襲し、 死者や被害者を出している。

見回り品を大きなトランクケースに詰め、 寒いユクライナの気候の中、 ブーツや帽子、 ぶ厚いジャケット等に身を包み、 赤ん坊を抱き、 幼児の手を引き、 車椅子を押しながらと、 電車やバスを待ち、 隣国のNATO加盟国であるポーランドやルーマニアへと脱出しようとしている市民の様子が毎日テレビの画面に映し出される。  お気に入りであろうと思われるぬいぐるみをしっかり抱え、 親に片手をひかれている幼児もいれば、  必要な所持品のみを出来るだけ多く荷物に詰めようと、 自宅にぬいぐるみやおもちゃを置いていかざる得なかった幼児もいるだろう。

ウクライナに残っている市民は、  駅やら建物の地下の仮防空壕に身を潜めている。 狭く窓もない地下室は、  ネズミも走り回っていれば、  トイレもなかったり、 水、 食料、  衛生品なども不足してきている。 赤ん坊や幼児は、 状況を感知してか、 ぐずり、  泣き出す。 それをあやす親の顔にも疲労感と絶望感が広がっている。 中にはペットの犬の首をしっかり抱いている姿も見られる。

米財務省外国資産管理局(OFAC)は、ロシアに対しての経済制裁を実行し始め、 ロシアの大金金融機関である銀行と、 対象企業の米国内資産は全て凍結され、米国の個人及び法人との取引も禁止。 プーチンの周りの個人や金融機関幹部も対象に、連邦保安局長官の息子、 国営銀行副社長、会長やCEO 、及び多くの権益を所有している法人との取引が禁止された。ロシア国債の取引主要企業社に対しては、発行証券の満期日が14日を超える新規債務及び新規株式の米国個人・法人の取引も禁止された。

欧州連合 (EU-The European Union) 理事会もロシア経済制裁を採択し、ロシア連邦議会議員と法人対象に、 資産凍結と資金提供の禁止、 EU域内への渡航・通過も禁止される。  日本外務省も国関係者に日本への入国ビザ発給停止、国内資産凍結、 ロシア国債や一部ロシア金融機関の短期社債の日本での発行・取引等の禁止、 そしてロシア軍事関連団体への輸出禁止の経済制裁を加えることも発表した。

UPSやFederal Expressなどの配達業者、 かつ当地のロサンジェルス港は、 ロシア行きの荷物やロシアからの船便の発送と処理を停止している。

プーチンにとり、 他国からの制裁は予想外で、ウクライナのへ侵略、 そして即降参へと、事を容易く、 かつ早急に運んでいけると思い込んでいたと言われている。 それどころか、 ウクライナの政府と市民の団結と、 勇敢さに圧倒されてるのではないか。 ウクライナの政府、  軍隊と市民は、 数的にも勢力的にもロシア軍には相当出来る可能性は低いと分かっていながら、  男性だけでなく、年配の女性も国に留まり、  自ら銃を担ぎ、ナイフをふところに収め、火災瓶 (モロトフカクテル-Molotov Cocktail)を作り、 道路や町に立っている道しるべやサインを取り外しながら、  侵入してくるロシア軍と戦おうとしているのである。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアの侵略が現実化される中、移動救助の申し出を断り、ウクライナにとどまり、自らビデオで欧州連合会議に顔を出し、「これがもしかして私の生きている最後の日かもしれない。でも我々の自由の為、最後まで戦う。どうか食べ物、銃弾、 燃料の配給をウクライナに、そしてロシアに対しての厳しい制裁を」と訴え、 その強く胸が打たれる、  勇敢さに満ちた懇願に、  世界中が、 そして政治家や通訳でさえも涙を流した。

これを書いている現在、 ロシア軍は首都のキエフを取り囲み始め、 原子力発電所にまで手を出している。  幸い放射能放出はとり止められたものの、 プーチンの狂った政権が露出されている。 と同時に、 ボランティアの戦士たちが続々とイギリス、ドイツ、イタリアなどからポーランドとの国境を越え、ウクライナに入国してきているそうだ。

絶望的な状況下でも、 自らの命を犠牲にしながら、人類の自由と平和の為に最後まで戦う真の勇士たちの無事、そして終戦を願いつつ、人々の拝む手にも、 どんどん力が入り、強くなっていく。

随筆日: 2/26/2022
改訂日: 2/28/2022、 3/1/2022、 3/3/2022
投稿日: 3/4/2022
ウエッブ掲載日: 3/5/2022

 

板橋恵理=関東地域で生まれる。家族の転勤と学校のため、幼年期から現在にいたるまで、日本ーヨーロッパー日本ーアメリカで生活する。現在は、アメリカ人の夫と老猫とロサンゼルスに在住している。趣味のひとつである太鼓にはまり、5年がたつ。老猫の名前もタイコ。

板橋恵理のカリフォルニア人間観察(エッセイ一覧)