東京に約200人が参加した第63回海外日系人大会 (10 月16日から18日) 大会宣言

4年ぶりに対面で開催された第63回海外日系人大会(10月16日から18日まで)、JICA市ヶ谷ビルにおいて17カ国からの日系人やその関係者約200名が参加した。写真は最終日の10月18日。(Photo by Yuma Asakura)

第63回海外日系人大会 大会宣言

新世代のイニシアティブがこれからのニッケイ社会を動かします

2023年10月18日

私たち、第63回海外日系人大会(2023年10月16-18日開催)に世界各地から参集した日系人は、「飛躍するニッケイ社会へ-期待される新世代のイニシアティブ」を総合テーマに討議しました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以来、4年ぶりに対面で話しあい、またオンライン配信による初のハイブリッド開催で行いました。以下の5項目からなる決議を本大会の成果として宣言いたします。

1 【ICTに通じアイデアに富む新しい日系世代は挑戦を続けます】

パンデミックにより、各国の日系団体は、対面のイベントが行えず、運営資金確保に苦しみました。危機的な状況の中で、活動の維持と拡大に力を尽くしたのは情報通信技術(ICT)に通じアイデアに富む新しい日系世代です。彼らは ICT知識とアイデアを活かし、オンラインイベントの開催に取り組み、人々の関心をつなぎとめ、さらに高めることに成功しました。彼らはその知識とアイデアに加え、日系以外の人々も加わるネットワークをフルに活用し新たなイニシアティブ(取り組み)に挑戦し続けます。それには先輩世代の知識と経験、支援が欠かせません。すべての世代が力を合わせ、ニッケイ社会の新たな価値創造に向けて進んでいきます。

2 【日系と日系以外の人々が連携するニッケイ社会は共生・共創のモデルです】

各国の日系社会では近年、日本からの移住者やその子孫である日系人だけでなく、日本の文化や価値観に関心を持ち日系社会の活動に積極的に参加する人々が増えてきました。このような人々も新しい日系世代と呼ぶことができましょう。私たちは日系社会の構成がすでに変化してきていることに注目し、また、日系社会がさらに飛躍するために、日系人に限らず同じ仲間として活躍する場を広げたいと考え、今回の大会テーマ設定にあたり、「日系社会」を漢字ではなく、カタカナで「ニッケイ社会」と記すことにいたしました。

これからのニッケイ社会は、日本の伝統・文化と日系レガシーを次世代に引き継ぐだけではなく、各国のほかのコミュニティと交流し、地域社会に開かれ、貢献する重要な存在となるでしょう。本大会でのさまざまな報告により、多様化する一方で分断される現在の世界において違いを越えて新たな共生と共創のモデルを示すニッケイ社会の取り組みが明らかになりました。持続可能な発展するニッケイ社会を作るために、日系人と日系以外の人々との協力を進め、各国ニッケイ社会との連携をさらに深めます。

3【初期日本人移住者が残した「教育重視」と「相互扶助」の精神を継承することが大切です】

討議の過程で、日本における共生社会実現の上で今後問題になるのは、「子弟教育」と「高齢者対応」であることが指摘されました。これらの問題は初期移住者がいずれの移住先でも直面した古くて新しい問題です。彼らには「教育重視」「相互扶助」をモットーに問題解決に取り組んできた歴史があります。今日においては、これらの問題への対応は、移住者や日系人の在住国の教育制度や医療・年金制度如何によって異なりますが、初期移住者が残した「教育重視」「相互扶助」の精神を、日本国内を含む各地の日系社会で連綿と継承していくことが大切です。

4 【日本育ちの次世代を応援します】

日本で暮らす日系人の社会はブラジル、米国に次ぎ世界で三番目に大きな日系人コミュニティです。日本で日系人として生まれ、あるいは日本で成長し、日本と親の出身国の両方の言語や文化を身に着けた若い世代がいま、次々に羽ばたいています。

本大会ではそのような「日本育ちの次世代」が、アイデンティティを探しながら、葛藤を乗り越え、現在の仕事や活動につなげている経験を共有しました。未知の可能性に挑む日本育ちの次世代を私たちは応援します。多彩なバックグラウンドを持ち、日本の長所と短所を知る若い日系人の活躍は日本社会に欠かせないものとなるでしょう。自治体や企業も彼らの活力に刺激されるでしょう。日本政府が、日本育ちの次世代への理解を深め、柔軟性とスピード感を持って人材育成に取り組むことを求めます。

5 【日系4世ビザの要件緩和と、国籍法の改正を求めます】

ブラジルをはじめとする中南米地域は日系人が一番数多く在住する地域ですが、今後この地域へ戦前あるいは戦後間もない頃のように新規の日本人移住者が赴く時代が再来するとはなかなか考えられません。このため、中南米の日系社会が日本に期待することは、できるだけ多くの日系人が、観光、留学、就労の如何を問わず、複雑な手続き無しに訪日し、日本を知る機会が与えられることにあります。

日系3世までについては定住者資格の創設などで大きな前進を見ましたが、日系4世の日本への受け入れについては、厳しい要件が付され、多くの日系4世の来日が叶えられていません。本年6月に明らかになった「日系4世制度見直し案」に対しブラジルの日系5団体は日本政府に更なる4世ビザの要件緩和や撤廃を訴えています。

日本に関心を持ち、日本で自己の夢を実現したいと願う4世に、日本の在留資格について一層の配慮を日本政府に求めます。とりわけ、受け入れサポーター制度、年齢制限、家族不帯同、定住化容認要件(滞日年数、日本語レベル)について要件の緩和や撤廃を検討いただくよう求めます。

また、グローバル化した現代社会において、海外で生活する日本人や、海外で生まれ育った子どもが、日本人・日系人としてのアイデンティティを保ちながら世界で活躍するために、在住国と日本の両方の国籍を保持できるよう国籍法を改正することが必要です。国籍喪失規定(国籍法11条)と国籍選択制度(国籍法14~16条)の廃止を検討いただくよう求めます。この措置は共生社会を実現し、日系人の活躍を内外で広げる上でも重要です。