2016/東京の海外日系人大会 ―日系人4世以降の日本受け入れを政府に要請

By 石原 進 (いしはら・すすむ、移民情報機構)

<2016年10月25日、東京から>

「21世紀の日系人像」を総合テーマにした第57回海外日系人大会(海外日系人協会主催)が24日から3日間の日程で国会議事堂近くの憲政記念館などで開かれ、日本政府に対して日系4世以降の在留資格の創設を求める大会宣言を採択した。「日系3世まで」としている日系人の「出稼ぎ枠」の拡大を海外日系人大会として要請したのは初めて。日本国内の外国人労働力のニーズが増大していることから、日系人側の意向が盛り込まれた。

今回の日系人大会には、19か国から約200人の日系人が参加。初日は南カリフォルニア大学のダンカン・ウイリアムズ准教授や日本ブラジル文化福祉協会の呉屋春美会長らが基調講演を行った。

2日目は、メキシコ、ペルー、フィリピン、英国、ハワイ、ブラジルの各国日系人代表による国際シンポジウムが開かれ、スポーツや教育、ビジネスなどの各分野から日系人の取り組みや課題、21世紀の日系人像になどについて議論した。続いて「日系の独創力を活かすには」「ビジネス戦略としての日系人」「ユースにとっての『21世紀日系人像』とは」の3つの分科会が開催された。

こうした様々な議論を受けて「21世紀の日系人を共生のパートナーに」と題した大会宣言文が作成された。宣言文では、日系社会が急速に多様化する中で、日本側に「支援」から「共生」「協力」に比重を移した施策を要望。ビジネスや国際協力の分野で日系人の「ヒューマンパワー」の活用を訴えた。

そのうえで「日系4世以降にも在留資格で配慮を」との意向を示し、「現在、3世世代まで特別な定住ビザが発給されていますが、これを含め在留資格面で、日本をルーツと考える4世以降の世代にも特別な施策を要請する」と述べている。

1990年の改正入管法の施行により日系人の3世までを定住者として受け入れる枠ができ、それにより家族とともに来日する日系人が急増した。この結果、日本語ができないまま来日した日系人の子供の登校拒否などの問題が起きているため、政府内には日系人の受け入れ枠の拡大に慎重な意見が多い。

大会宣言にはこのほか、従来から声が上がっている「重国籍」の容認、在外投票の施策の充実など要望が盛り込まれた。