高野山米国別院の森 優龍(もり・ゆうりゅう)開教師(セルフ・ポートレート)

ロサンゼルス(令和8年2月)リトル東京にある高野山米国別院の森 優龍(もり・ゆうりゅう)開教師からカルチュラル・ニュースに自己紹介文が届きましたのでお知らせします。

自己紹介文

森 優龍(もり・ゆうりゅう)は、2024年12月、高野山真言宗総本山金剛峯寺より派遣され、高野山米国別院に着任いたしました。

2000年4月17日、大阪府岸和田市に生まれ、高野山真言宗 久米田寺塔頭・多聞院に育ちました。久米田寺は天平10年(738年)、行基菩薩を開基とする古刹であり、寺の正面に広がる大阪府最大の水面積、そして世界かんがい施設遺産に登録されている、ため池・久米田池は、行基の指導のもと築造され、地域の農業と人々の生活を支えてきました。当寺は、その池を管理する拠点として建立されたことに始まります。

また久米田寺には、星曼荼羅、楠家文書、久米田寺文書など、国の重要文化財に指定される貴重な文化財が数多く伝えられており、幼少期から自然と歴史と信仰が身近にある環境で育ちました。

姉二人、妹一人に囲まれて育ち、2013年、13歳で得度。2022年に正式に僧籍を取得しました。

大阪府河内長野市の清教学園中学校・高等学校を経て、立命館大学文学部日本史研究学域に進学。中学・高校の社会科教員免許を取得しました。2021年には大学を一年休学し、高野山専修学院にて修行に専念いたしました。

曽祖父の代から三代続けて高野山大学へ進学してきた家系ではありましたが、「より広い視点で日本の歴史を学びたい」という思いから、京都に学び舎を求め、立命館大学への進学を選びました。大学時代から歴史研究に取り組み、趣味は旅行。特に世界各地の歴史的な場所を訪れ、その土地に根付く宗教や文化、人々の暮らしに触れることを大切にしてきました。

私がアメリカ布教を志した理由は、「若いうちに、後悔のない決断をしたい」と考えたことにあります。異なる文化、価値観の中で仏教を伝える経験は、僧侶としての視野を広げ、物事をより多角的に捉える力を養ってくれると信じました。

110年以上の歴史を持つ高野山米国別院は、アメリカにおいて数少ない真言宗寺院の一つです。その歩みの中で、いかにして信仰を守り、地域社会と共に歩んできたのかを学ぶことは、将来、自坊へ戻った際にも必ず生かせる貴重な学びになると感じています。

現在、高野山米国別院では、書道クラスを担当するほか、「ダルマクラス」と題し、仏教の教えや弘法大師空海の思想、さらには日本仏教史について講義を行っています。仏教を単なる宗教としてではなく、「生き方の指針」として伝えることを心がけ、初めて仏教に触れる方々にも分かりやすい言葉でお話しすることを大切にしています。

弘法大師は、「生きとし生けるもの、無駄なものは一つもない」と説かれました。異国の地での布教生活は、決して平坦なものではありませんが、日々の出会いや出来事の一つ一つが、自身を育てる大切な縁であると感じています。

アメリカという多様性に満ちた社会の中で、仏教が果たせる役割を模索しながら、これからも人と人とをつなぐ架け橋として、精進を重ねてまいります。