カルチュラル・ニュース12月号を発行しましたので、内容を要約してお知らせします。
日本美術の収集家として世界的に有名で、個人美術館を作って日本美術を紹介したカリフォルニア州ハンフォードのビル・クラークさんが11月22日、自宅で亡くなりました。85歳でした。ハンフォードは、カリフォルニア中部の農業・牧畜地帯で、クラークさんは地元のランチャー(牧場経営者)の5代目でした。優良な牛の精子を冷凍保存して世界66カ国に販売する World Wide Sires を創業し、牧場経営者から事業家になりました。
World Wide Sires を売却後、その資産を日本美術の購入に費やし、1995年には、ハンファードの所有地内に日本美術専用のギャラリーを作り、日本美術・文化クラーク・センターを発足させました。クラーク・センターでは年、4回、世界一級品の日本美術展示が行われ、カリフォルニア州内だけではなく、アメリカ中から、また日本からも日本美術愛好家を集めました。
自ら集めた美術品の永久保管先を探していたクラークさんは、2013年6月にミネアポリス美術館に約1700点、25ミリオン(約25億円)相当の日本美術品を寄付することを発表、2014年には、クラークさんの所蔵品はミネアポリスに移管されました。2015年6月30日を最後にクラーク・センターは日本美術の展示を終了し、センター自体が閉館しました。
クラークさんは、頻繁に日本を訪れ、日本画や日本人作家による工芸品を収集したり、アメリカ国内の有名美術館の日本美術の展示にも協力してきました。2009年春の叙勲では旭日中綬章を受けています。叙勲の伝達式は2009年5月22日にサンフランシスコ総領事公邸で行われ、1ページに掲載した勲章を付けたクラークさんの写真は、そのときに撮影されたものです。
12月号では、クラーク・センター最後の日本美術展(2015年2月10日から6月30日)についてアラン・グリーソンさんが書いています。グリーソンさんは東京在住で、日本の美術館の展示内容を英字で紹介する Artscape Japan の編集者です。アメリカに里帰りした機会に、クラーク・センターが閉館になる3日前の訪問記録です。
また、カルチュラル・ニュースが、クラークさんへの追悼文を募集したところ、クラークさんを長年にわたって知っているボストン日米協会の元会長、ピーター・グリーリーさん、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校のアジア美術史教授のケンドル・ブラウン先生から追悼文をいただき、1面に掲載しました。
さらに、クラーク・センターで尺八を何度が演奏した、北カリフォルニアにエリオット・カレンさん、そしてロサンゼルスの日本美術専門家のメイヤー・マッカーサーさんからの追悼文も、2 ページと3ページに掲載しました。
4ページのロサンゼルスの日本美術展の紹介は、ロサンゼルス・カウンティー美術館(LACMA) の3つの展示を紹介しています。12月12日から日本パビリオンでは「実生活や寓話から出てきた人物像」 (Japanese Paintings: Figures from Life, Figures from Allegory) が始まります。 そして現在進行中の2つの展示、「日常の風景・バーバラ・ボウマン・コレクション版画展」 (Living for the Moment: Japanese Prints from the Barbara S. Bowman Collection)と、建築家「フランク・ゲーリー」展の付属展示「LACMAの日本美術」(Screens, Scrolls, Prints: Japanese Art from LACMA Collection) を紹介しています。「フランク・ゲーリー」展は特別入場券の購入が必要ですが「LACMAに日本美術」は通常の入場券で見ることができます。
また、4ページの左下の記事は、南カリフォルニア大学付属パシフィック・アジア美術館の日本専用ギャラリーで、現在展示中の「文人画」展を紹介しています。
ロサンゼルスの日本文化を紹介した5ページでは、11月の太鼓コンサート「ワンサウンド・コンサート」を取り上げました。この太鼓コンサートは東京から大江戸助六太鼓のメンバーが来て、盛り上げました。10月には鹿児島県奄美の出身者で作るロサンゼルスの「奄美会」が40周年記念イベントを奄美から島唄の歌手を呼んだり、鹿児島からの奄美出身者の会が参加して盛大に行われました。奄美市長も参加しました。沖縄に本部がある琉球筝曲「興陽会」のロサンゼルス支部が50周年を迎え、盛大なコンサートが、沖縄とハワイからの参加者を加えて行われました。沖縄から人間国宝の照喜名朝一(てるきな・ちょういち)先生が参加されました。民謡の「松豊会」は会主の佐藤松豊先生が渡米して民謡を教えて50年を迎えました。松豊会の50周年も行われ、民謡と演歌で有名な成世昌平さんが東京から参加しました。
6ページでは、アメリカの日本庭園を紹介しています。アリゾナ州フェニックスには姉妹都市の姫路市の協力で作られた「フレンドシップ・ガーデン」があります。「鷺鵬園」と呼ばれるフェニックスの日本庭園では、秋の勲章の伝達式が行われました。ロサンゼルス近郊にあるハンティングトン・ライブラリーの日本庭園は、3月末に日本で、高松市内にある栗林公園(香川県が運営)と姉妹縁組をしました。調印式は、ハンティングトンの代表が栗林公園を訪問した機会に行われました。ミズリー州セントルイスには米国でも有数の広さを誇る日本庭園があります。40年前の開園で、ミズリー州と姉妹縁組を結んでいる長野県の協力で、40年前に茶室も建てられています。毎年、9月はじめのレイバー・ディー休日には日本祭りが行われています。
7ページでは、50年続いている日本人のための引退者ホーム、高齢者介護ホームの売却問題のなりゆきを紹介しています。
8ページでは2016年正月のイベント紹介です。ロサンゼルスでは日米文化会館が「事始」というタイトルでパフォーマンス・イベントを第1日曜日に行っています。日米文化会館の芸術部長・小阪博一さんが企画し、自ら弓道の実演を見せます。日米文化会館では年末に「お正月ワークショップ」を子供向けに行っています。ロサンゼルスの高野山別院では、元旦から3日間、初詣を受け付けています。カルチュラル・ニュースは、毎年、高野山から広告をいただいていますが、今回も8ページに2016年の広告をいただきました。
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カルチュラル・ニュースの発行を援助してください。現在、2015年から2017年の3年間事業のための3万ドル募金をお願いしています。12月のはじめまでに、約2万ドルを送っていただきました。あと1万ドルが必要です。ご援助ください。詳しくはカルチュラル・ニュース後援会のページをご覧ください。(カルチュラル・ニュース編集長、東 繁春)

