在米ジャーナリスト 髙濱 賛(たかはま・たとう) 2026 年3月15日

PACIFIC RESEARCH INSTITUTE - 野球の国際大会、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。表向きは「国対国」の戦いだ。しかし、この大会を主催するのは国際野球連盟ではない。メジャーリーグベースボール(MLB)とメジャーリーグベースボール選手会(MLBPA)である。国家の威信よりも、MLBが仕掛けた世界市場のイベント。それが現実だ。

だから大会の強さは、国の力だけで決まるわけではない。どれだけ多くのMLB選手を抱えているかがカギになる。言い換えれば、WBCとは「MLB選手が祖国ごとに集まる大会」でもある。

今回の日本対ベネズエラの試合を見ると、このことがよくわかる。ベネズエラは人口三千万人ほどの国だ。しかし野球に関して言えば、世界でも屈指の人材供給国である。MLBのロースターには毎年多くのベネズエラ人が名を連ね、リーグを支える力になっている。

今回の代表にも、MLBのスターが揃った。
ロナルド・アクーニャ・ジュニア(アトランタ・ブレーブス)、ルイス・アラエス(サンディエゴ・パドレス)、グレイバー・トーレス(ニューヨーク・ヤンキース)、ワイリエル・アブレイユ(ボストン・レッドソックス)。

普段はMLBでプレーしている彼らが、この日は祖国のユニフォームを着る。メジャーリーガーが祖国代表として再結集したのだ。

ドミニカ共和国、プエルトリコ、ベネズエラ。国内リーグの規模は小さくても、MLBに送り込む選手の数は桁違いだ。巨大な人材プールがある限り、強いチームが自然と生まれる。

日本の事情は少し違う。独自のプロリーグ、日本野球機構(NPB)がある。代表の主力は依然としてこのリーグの選手だ。もちろん大谷翔平のようなMLBスターもいる。しかしラテン諸国のように代表の大半がメジャーリーガーというわけではない。

試合は序盤、日本がリードした。だが中盤以降、ベネズエラの長打が試合をひっくり返す。アブレイユの逆転ホームランは象徴的な一撃だった。

ベネズエラのメディアはベネズエラ人の声をこう報じていた。「日本に勝った!ベネズエラ人はどこに住んでいようとも熱狂した」(首都カラカスのビジネスマン)
「日本は世界でも一番豊かな国の一つだ。でも今日はベネズエラが勝った」(野球少年)

野球に詳しい、ある社会学者はこう語る。
「かつて野球はアメリカの国民的スポーツでした。しかし今は違います。ラテンアメリカ、日本、韓国など、多くの地域が競争の舞台に加わった。野球はもはや一国のものではなく、世界の公共財のような存在になりつつあります。
MLBの選手たちが祖国の代表として戦うと、出身国同士の試合が本物の国際対決になることが分かってきた。MLB自身もそこに大きなビジネス・チャンスがあることも見始めたのです」

文化の世界では似た現象がすでに起きている。ノーベル賞もアカデミー賞も、かつては欧米中心だった。しかし今では受賞者も作品も多国籍になり、世界規模の競争の場へと変わった。

野球も同じ道を歩み始めた。日本が今年チャンピオンになれなかったからと言って嘆くべきじゃない。特定の選手をなじるなんてもってのほかだ。もっともっとMLBに日本選手を送り出すことだ。

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在米ジャーナリスト 高濱 賛(たかはま・たとう)さんとは

  

Summary: Venezuela Upsets Japan in WBC — MLB Stars Spark Nationwide Celebration

In the World Baseball Classic, Venezuela, a small nation of 30 million, defeated Japan, the reigning champion. MLB stars like Ronald Acuña Jr. (Atlanta Braves), Luis Arraez (San Diego Padres), Gleyber Torres (New York Yankees), and Yulieski Abreu (Boston Red Sox) returned home to represent their country, turning the match into a true international showdown.

Japan relied mostly on players from Nippon Professional Baseball (NPB), while Venezuela’s team featured a roster dominated by MLB talent. Abreu’s decisive home run sealed the victory, sending the nation into celebration.

Experts note that baseball is no longer America’s sport alone; it is becoming a global public good, much like Nobel Prizes and Academy Awards, which are now multinational. The WBC shows that when players compete for their home countries, international competition reaches new heights — and global business opportunities emerge.

Venezuelans cheered: “Japan is one of the richest countries, but today, Venezuela won!”

Note: English translation prepared by the author. Translation assistance tools may be used.