東繁春が見た米国2016/大規模日本文化センターで舞楽を見た

 

韓国の伝統音楽と日本の雅楽の前で踊る舞楽 (Cultural News Photo)

韓国の伝統音楽と日本の雅楽の前で踊る舞楽 (Cultural News Photo)

坂東秀十美による日本舞踊・長唄「ふじ」(Cultural News Photo)

坂東秀十美による日本舞踊・長唄「ふじ」(Cultural News Photo)

ソプラノ歌手・竹下圭子(左)と弓道の一弓の会 (Cultural News Photo)

ソプラノ歌手・竹下圭子(左)と弓道の一弓の会 (Cultural News Photo)

ロサンゼルスの日米文化会館の新年イベントKotohajime (Cultural News Photo)

ロサンゼルスの日米文化会館の新年イベントKotohajime (Cultural News Photo)

1月3日

違いというものは比べるものがあって、初めて際立って来るものです。ロサンゼルスの日米文化会館(Japanese American Cultural and Community Center) では、同会館Master Artist in Residenceの小阪博一さん企画によるKotohajimeパフォーマンスが、毎年1月の第1日曜日に開催されています。日本の伝統文化と他の国の芸術を同じ舞台で見せることで、あらためて、日本文化の特徴を見る者に気づかせ、また、他の国の芸術のよさも際立たせて見せるという、なかなか得がたい体験を与えてくれるステージ・パフォーマンスです

2016年のKotohajimeは、韓国の伝統音楽(Kugaku)・韓国舞踊と、日本の雅楽(Konju no ha: Togaku)・舞楽(Nasori)の対比、そして、ロサンゼルスの芸術高校生のモダンダンスと坂東流ソロ舞踊(Nagauta FUJI) 、ソプラノ歌手の歌うヘンデルのDank sei dir, Herr ・モーツアルトのLaudate Dominum と弓道のパフォーマンスでした。

出演は、韓国の伝統音楽と舞踊がKorean Classical Music Institute of America、雅楽と舞楽は金那羅(きんなら)舞楽・雅楽、モダンダンスはThe Colburn School’s Trudl Zipper Dance Institute、日本舞踊は坂東秀十美(ばんどう・ひでそみ)、ソプラノ歌手は竹下圭子、キーボード伴奏がカワムラ・マナミ、そして弓道の矢を射るには小阪さん自身で、小阪さんの介添えをするのは一弓会でした。

ロサンゼルスの日米文化会館は、本館が5階建てビルで、隣接の900人収容のアラタニ劇場、有名な彫刻家・イサム野口が設計した「一世の広場」そして本格的日本庭園からなるまことにりっぱな日本文化施設です。

ロサンゼルスの日米文化会館は35年前に設立され、Kotohajimeは今年で25回目になります。当初は、野口プラザで、一般公開、無料で行われていましたが、10年ほど前から会場がアラタニ劇場に移り、有料イベントになっています。

日本の雅楽と舞楽は、わたしは、日本でナマで聞いたり、見たりしたことがありませんでした。ロサンゼルスでは1970年代から本格的な雅楽の演奏グループが作られています。坂東秀十美さん、ソプラノ歌手の竹下圭子さんを始め、出演者は、すべて地元の方です。

ロサンゼルスの日本文化は建物が立派だけではなく、その内容もまことに充実しているのです。わたしはこのKotohajmeを20年近く見ているのですが、毎年、このプログラムを見たあとは、満足感を味わっています。

追伸=竹下圭子さんのパフォーマンス

Dank sei Dir, Herr by George Frideric Handel ジョージ・フレデリック・ヘンデル作曲 オラトリオ「エジプトのイスラエル人」より 主よ、汝に感謝す(現在ではこれはヘンデルの作曲ではなくSiegfried Ochs ジークフリート・オックスの作だと言われている)

Laudate Dominum of Vespere solemnness de Confessore KV339  by Wolfgang Amadeus Mozart   ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲  聖証者のための盛儀晩祷<ヴェスペーレ>ハ長調より 主をほめたたえよ

伴奏者    河村まなみ ビオラ大学ファカリティー(ピアノ)