
NHKニュースから
「ロシア政治経済ジャーナル」北野幸伯 (きたの・よしのり) さんのメルマガから(2024年4月11日(ロサンゼルス時間)発信 mag2 0000012950 mailmag@mag2tegami.com
★岸田総理の米議会演説は【背景理解】が大事
全世界のロシア政治経済ジャーナル (RPE) 読者の皆様、こんにちは!
北野です。
皆さんご存知だと思いますが、岸田総理が4月11日、アメリカ議会で演説しました。
今回は、この演説の「読み方」について考えてみましょう。
「読み方」で、重要なポイントは2つあると思います。
一つは、「是々非々であること」です。
私は、故安倍元総理を高く評価しています。
しかし、消費税を二回引き上げたことは、大きな間違いだと思っています。
私は、「安倍信者」なのではなく、「是々非々」なのです。
岸田さんはどうでしょうか?
私は、岸田さんの「増税路線」を厳しく批判しています。
日本国民はここ数年、ひどい目にあってきました。
2019年、消費税増税。
2020年、2021年、新型コロナパンデミック大不況。
2022年、2023年、ウクライナ戦争インフレ。
本当に大変です。
しかし、岸田さんは、国民の痛みを全然無視して、しれ~と増税してくるのです。
胃が痛くなります。
岸田さん最大の問題は、「裏金問題」ではなく、「増税路線であること」でしょう。
ですが、それとアメリカ議会での演説は、わけて考える必要があるでしょう。
岸田さんが「増税クソメガネ」と呼ばれていても、議会演説と関係ないのです。
もう一つは、演説が行われた背景を知る必要があるということです。
世の中には、背景をまるで考えず、「毎回同じ評価」を出してくる人がたくさんいます。
たとえば、プリゴジンの飛行機が落ちて死んだ。
「CIAが黒幕だ!」
ナワリヌイが死んだ。
「CIAが黒幕だ!」
モスクワでテロが起きた。
「CIAが黒幕だ!」
これ、特に情報を分析しているわけではなく、「自動的に反応しているだけ」です。
なぜCIAが黒幕かというと、「いつもCIAが黒幕だと思っているから」でしょう。
それ以外に、理由も証拠もありません。
同じような感じで、岸田さんの演説については、
「バイデンのポチの岸田が、アメリカをヨイショするポチ演説を行った」
など、「自動的反応」をする人がでてくるでしょう。
ちなみにこういう人は、安倍元総理についても、「トランプのポチ」と批判していました。
ところが、安倍さん、事実を見ると全然トランプのポチではありませんでした。
・トランプはTPP脱退。安倍さんはTPP支持。
・トランプはパリ協定脱退。安倍さんはパリ協定支持。
・トランプはエルサレムをイスラエルの首都と認定。安倍日本はこれに反対。
・トランプはWHO脱退を宣言。安倍日本はWHOを支持。
これらは「安倍さんがトランプのポチではない証拠」ですが、反安倍さんの人は、何も考えず、自動的に「安倍はトランプのポチだった」と言い続けていました。
「ポチ」というのは、「アメリカの言いなり」ということでしょう。
しかし、実をいうと、背景の違いによって、アメリカの言うことを聞いた方がいい時もあれば、言うことを聞かない方がいい時もあるのです。
たとえば、はっきりアメリカのポチでなかった総理もいます。
そう、鳩山さんです。
この方は、「トラストミー問題」で、日米関係をボロボロにしました。
まったくポチではありません。
それで、うまくいったのでしょうか?
鳩山さんと、菅さん、野田さんが壊したのは、日米関係だけではありませんでした。
日中関係は、2010年の尖閣中国漁船衝突事件と、2012年の尖閣国有化でボロボロになりました。
日ロ関係は、プーチンの子犬メドベージェフが北方領土を訪問し、ボロボロになりました。
日韓関係は、李明博が、「日王が韓国に来たければ謝罪しろ!」と暴言をはき、ボロボロになりました。
これは、何でしょうか?
鳩山さんが、日米関係をボロボロにした。
すると中国、ロシア、韓国が、「アメリカがバックにいない日本は、怖くない」と好き放題やるようになってきたのです。
それで、自虐史観の持ち主で、要求があれば100万回謝罪したであろう民主党政権でも、日中、日ロ、日韓関係は最悪になったのです。
「背景」とはなんでしょうか?
たとえば安倍さんがアメリカ議会で「希望の同盟演説」を行った時の背景は、何でしょうか?
当時中国は、2012年11月から、「反日共同戦線戦略」を採用し、日本を追い詰めていました。
@必読資料「反日統一共同戦線」とは?
https://rpejournal.com/rosianokoe.pdf
この資料の中で、中国の代表は、「アメリカを反日統一共同戦線に引き入れなければならない」と断言しています。
安倍総理は、「希望の同盟演説」で、アメリカが反日統一共同戦線に入るのを止めたのです。
この超重要な背景を理解していなければ、「ただのポチ演説」という、「いつものなんも考えていない、自動的な評価」になってしまいます。
▼岸田演説の「背景」は
では、岸田演説の背景はどうでしょうか?
「アメリカが追い詰められている」ということです。
アメリカは今、ウクライナーロシア戦争、イスラエルーハマス(背後にイラン)戦争で、ウクライナとイスラエルを支援しています。
ここで、中国が台湾に侵攻し、北朝鮮が韓国に侵攻すれば、「四正面作戦」になってしまう。
これは、本当に困るのです。
そこでアメリカは、「同盟国の役割分担を増やそう」と考えている。
たとえば、ウクライナ支援は、イギリス、ドイツ、フランス、ポーランドなど、欧州の大国が中心にやってもらう。
イスラエルは、ハマス、ヒズボラと、できるだけ自分で戦ってもらう。
アメリカが助けるのは、フーシ派空爆。
そして、イランとの戦争がはじまれば、核兵器製造施設破壊に協力するでしょう。
アジアを見ると、台湾問題、朝鮮半島問題があります。
4正面作戦を恐れるアメリカは、アジアの大国日本の役割分担を増やそうとしています。
だから、アメリカは、日本の防衛費激増を評価し、反撃能力の確保にも反対しません。
岸田さんの動きは、アメリカの意向に沿っている。
だから、「アメリカのポチだ」という評価にも「一理ある」といえるでしょう。
しかし、いいのです。
アメリカの意図でも、強くなるのは日本だからです。
私たちは、「自分の国を自分で守れる体制」「軍事の自立」を目指してきました。
しかし、ある日日本が、「軍事の自立を目指します!アメリカさん日本から出て行ってください!」といえばどうなるのでしょうか?
アメリカは、「日本はまた逆らうつもりだ!」「いったん中国と組んで日本をつぶしておこう!」となるでしょう。
ですが、今は「アメリカの事情で日本を強くしている」。
だから日本は、「防衛費増やしたくないですが、アメリカさんが圧力をかけてくるので、イヤイヤやります」と言いつつ、ちゃっかり強くなっていけばいいのです。
岸田さんは演説の中で、
「国際秩序をほぼ一国で支えてきたことに孤独と疲労感を覚えてきた米国人のみなさんに訴えたい」
「あなたはひとりではない。われわれが共にいる」
これは、まさにアメリカが聞きたかった部分です。
岸田さんは、「黒化勢力」中国、ロシア、北朝鮮、イランとの「4正面作戦」におびえるアメリカの政治家たちに、「日本がもっと強くなることで、アメリカを助けますよ!」と宣言したのです。
それは、「アメリカさんの許可を得て、日本は強くなりますよ!」という意味です。
まさにWINーWINといえるでしょう。
というわけで、岸田さんの米議会演説は、満点のできでした。
願わくは、「国民いじめ」の「増税路線」を、是非やめていただきたいと思います。