報告者=移民情報機構・石原 進

超党派の「日本語教育推進議員連盟」(略称・日本語議連)の設立総会が11月8日夕、参議院議員会館の会議室で開かれた。冒頭、議員連盟の趣旨説明や議連への参加会員が8日現在で46人あったことが報告された後、会長に自民党の河村建夫氏、会長代行に民進党の中川正春氏、幹事長に民進党の笠浩史氏、事務局長に自民党の馳浩氏ら役員人事を決めた。4役のうち笠氏を除く3氏が文部科学大臣経験者で、教育分野の実力政治家がリーダーシップをとり、議論がスタートした。

会長に選出された河村氏は挨拶の中で、自身が日本ブラジル議員連盟の幹事長として活動してきた経験を踏まえて日系人も含め「日本語がもっと(外国人に)広まっていくことが必要だ」と強調し、「そういう問題を立法府として進めていくべきで、国がもっと動きやすい仕組みを作っていかなければならない」と語った。

続いて日本語教育に関わりのある文化庁をはじめ、法務省、文部科学省、外務省、厚生労働省、経済産業省の7省庁と国際交流基金の担当者が資料を提示してそれぞれの取り組みを説明した。さらに日本語学校の状況について、移民情報機構の石原進(筆者)が報告。日本語学校業界は複数の業界団体があり微妙に立場や意見が違うことから、業界の事情に詳しい石原が状況説明にあたった。石原は非漢字圏である東南アジアの留学生の増加していることなど資料で示し、日本語教育に大きな柱が日本語学校であることを強調した。そのうえで、「政府は多様な取り組みをしているが、日本語教育の背骨になるような組織がない」と指摘した。

このあと、出席議員と政府関係者の間で質疑が行われた。日本語議連は、来年1月の通常国会開会後に日本語教育に関する本格的な活動を始める予定。議員連盟としては日本語教育の「普及推進」と「質の保証」を目指し、「日本語教育振興基本法」(仮称)を議員立法で制定するための議論を進める意向だ。海外における日本語教育の在り方についても、議論が行われるとみられる。