2016/アフリカの少年兵と日本人医師の実在物語を映画化「風に立つライオン」、オーロラ日本語奨学基金が上映会、アラタニ劇場で2月7日

Aurora Screening Lion Standing in Wind

オーロラ基金による映画「風に立つライオン」の米国初上映が2月7日、アラタニ劇場で行われました

映画「風に立つライオン」は、さだ・まさしさんの原作で、俳優・大沢たかしが主演、監督がバイオレンス映画で有名な三池崇史という、この組み合わせだけでも、そうとうユニークな映画です。

長崎大学の日本人医師がケニヤに派遣されて、戦争負傷の治療をするうちに、2年間の任期を終えても、日本に帰らず、現地でもっとも困難な場所に行ってしまい、ゲリラの銃撃に会い、行方不明になる、というストーリーで、とても感動する映画でした。

ストーリーがあまりにもすばらしいので、どこまでが、実話で、どこまでがフィクションなのか、調べてみたくなり、インターネット検索をしてみました。検索情報と映画「風にたつライオン」パンフを合わせてみると、次のようなことがわかりました。

この映画のモデルとなった実在の長崎大学の日本人医師は、柴田紘一郎さん(当時30歳)で、アフリカに派遣されたのは1971年3月で、柴田さんは、2年の任期後は、日本に戻り、医師を続け、現在でも宮崎県内の老人介護施設の施設長をされています。現在は75歳くらいです。

映画の主人公・航一郎(俳優・大沢たかお)は1987年にケニアに派遣される設定になっています。モデルと映画の設定では約20年も時代が違うので、さだ・まさしさんなりの創作があるのですが、そのフィクションは、荒唐無稽な話ではなく、日本人が世界各地に出かけていき、援助をした実話をフィクションに組み変えているのです。

映画「風に立つライオン」は、2011年3月の東日本大震災直後の石巻市内の瓦礫の中をアフリカから来た青年が歩いているシーンで始まるのですが、映画を見終えると、過去50年以上に渡って日本国が世界中の発展途上国に支援を行って来たらこそ、東日本大震災で、世界中から支援が返ってきたのだということが、理解できます。

それから、さだ・まさしさんがフィクションに置き換えた実話というのが、さだ・まさしさんが1987年に歌「風に立つライオン」を発表したあと、この歌を聞いたことがきっかけになって生れた日本人の海外活動というのですから、歌が現実を作り、その現実が映画になったといえるでしょう。さだ・まさしさんは歌で現実を変えてしまうのですから、あらためて、すごいひとだと思います。

<カルチュラル・ニュース編集長、東 繁春から>

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オーロラ日本語奨学金基金では日本の素晴らしい映画を日系コミュニティーと日本語を学んでいるアメリカ人を対象に紹介してきました。

今年は、さだまさしが1987年に発表した楽曲から生まれた感動小説の待望の映画化「風に立つライオン」(監督:三池崇史)を上映します。

アフリカ・ケニアで国際医療活動に従事した実在の日本人医師・柴田紘一郎をモデルに作られたこの名曲に惚れ込んだ大沢たかおが「風に立つライオン」の小説化・映画化を熱望したことから、さだまさしが2013年に小説を発表、そして映画版が誕生しました。

映画上映会:  「風に立つライオン」

日時: 2月7日(日)午後2時 & 午後6時

会場: The Aratani Theater, 244 South San Pedro St., Los Angeles, CA 90012

チケット:当日券 $20、前売り券 $15、学生、シニア、Aurora Member、JACCC Member $15 (紀伊國屋書店 リトル東京店 213-687-4480、 コスタメサ店 714-662-2319)

問い合わせ:オーロラ日本語奨学金基金 323-882-6545  www.aurorafoundation@usa.net

このベネフィットイベントで得られる収益金は、全米高校生による日本語スピーチコンテスト全米大会、日本語奨学金受賞者、オーロラ・チャレンジグラント受賞者に贈られる奨学金およびそのプログラム諸経費に使われます。

映画「風に立つライオン」あらすじ

1987年、日本人医師・ 航一郎(大沢たかお) は、大学病院からケニアの研究施設に派遣される。アフリカ医療に生涯を捧げたシュバイツァーの自伝に感銘を受け医師を志した航一郎にとって、それは願ってもいないチャンスだった。 しかし、それは恋人との長い別れも意味していた。父の跡を継ぎ、女医として離島医療に従事する 貴子(真木よう子) を遠く日本に残さなければならなかったのだ。

理想を胸に研究と臨床の充実した日々を送っていた 航一郎 は半年後、現地の赤十字病院から1か月の派遣要請を受ける。物見遊山のつもりで赴いた彼は、重傷を負って次々と運ばれてくる少年が、みな麻薬を注射され戦場に立たされた少年兵である事実に愕然としながらも、この病院への転籍を志願する。
過酷な状況ながらも生き生きと働く 航一郎 は、医療団からの信頼も厚かった。

一方、同病院に看護師として派遣されてきた 和歌子(石原さとみ) は、確かなスキルと手際の良さで、 航一郎 と時折ぶつかりあいながらも互いに認め合っていく。そして、心に傷を抱えた少年たちを「オッケー、ダイジョブ」と温かく包み込む航一郎は、いつしか少年たちの良き友であり、師となっていた。

そんなある日、病院に少年兵・ ンドゥング が担ぎ込まれる。彼は銃傷よりも、両親を目の前で惨殺され、麻薬でかき消された心の傷が甚大だった・・・・   航一郎 は、そんな彼の心の闇に真正面から向かっていくのだが・・・  美しく壮大なケニアを舞台に、一人の日本人医師がつないだ「希望」のバトン・・・・

原作/Original Story : さだ まさし / Masashi Sada

監督/Director : 三池 嵩史 / Takashi Miike

Cast :

大沢 たかお / Takao Osawa
石原 さとみ / Satomi Ishihara
真木 よう子 / Yoko Maki 
萩原 聖人 / Masato Hagiwara
鈴木 亮平 / Ryohei Suzuki
藤谷 文子 / Ayako Fujitani
中村 久美 / Kumi Nakamura
山崎 一 / Hajime Yamazaki
石原 蓮司 / Renji Ishibashi
Erick Ojiamboh
Patrik Oketch
Nick Reeding
Lydia Gitachu

映画「風に立つライオン」公式ホームページ http://kaze-lion.com/