2015年12月26日
アメリカで暮していると、1年の区切りはクリスマスだなと思えるようになります。25日のクリスマスまでは、アメリカ全体は休暇モードですが、26日からは通常の生活や仕事に戻るからです。1月1日は、一応、米国でも祝日ですが、日本のような祝賀ムードはまったくありません。今年は、25日が金曜日で、26日と27日の週末まで、休暇モードが続き、通常の生活に戻るのは28日(月曜日)からです。
<<<アメリカで石をめでる>>>
クリスマス休暇が明けて、今日から、お正月まで、毎年行われているのが、パサデナのハンディングトン・ライブラリー(図書館ではなく、広大な敷地のある芸術文化テーマ・パークです)での水石展です。
つまり、石を見るワケです。「水石」という言葉をわたしは米国に来て初めて知りました。アメリカ人によるカリフォルニア愛石会という団体があって、ハンティングトンでのViewing Stones Exhibitionは、 今年で26回になります。愛石会のメンバーはもともとは盆栽をやるひとたちです。
120-130個の石が展示されていて、約20人の出展者がいますが、今年は、出展者には、ハリー・平尾をのぞいて、日本人の名前も日系人の名前もありませんでした。平尾さんは、今年7月23日、98歳で亡くなりました。
ハンティングトンには、100年に作られた立派な日本庭園があります。この日本庭園は数年前に大改修されてさらに立派になっています。盆栽展示も一級です。この水石展は、1日がローズパレードのため、ハンティングトン自体が閉館になるのを除いて3日まで、続くので、ロサンゼルスで日本のお正月のふんいきを求めるひとには、お勧めの場所です。
ただし入場料が平日で23ドル、週末料金は25ドルになるので、ぶっらと行くのでなく、丸一日ハンティングトンを楽しむくらいの余裕があったほうがいいでしょう。
水石展のYouTube ビデオ・クリップhttps://youtu.be/GxwgNpyFxJg
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- サンバナディーノ銃撃テロで活躍したサンバナディーノ市警察本部長(右端)に感謝状を渡すイスラム教団のひとつアハマディア・ムスリム協会の幹部。 (Cultural News Photo)
<<<イスラム教世界の「創価学会」に出会う>>>
朝9時、eメールをチェックしたら「緊急」との書き出しで、テロに反対するイスラム教の大きな集会が午後3時から、チノであるというニュースリリースが午前8時30分の発信で、入っていました。
チノは、12月2日に起こったサンバナディーノ銃撃テロ現場から、車で15分くらいの場所で、日本に関係あることとしては、チノ飛行場には、まだ、実際に飛ぶことができるゼロ戦があることが有名です。また、チノは、行政区域として事件の場所と同じサンバナディーノ・カウンティー(県の機能を持つ区域)に属しています。
11月13日のパリ攻撃テロを受けて、11月22日にウエスト・ロサンゼルスにある、イラン人のモスク「イマム・カルチュラル・センター」で集会が行われました。わたしは、その集会に終了時間ぎりぎりになって出席したのですが、そのときの実績が買われて、今度は Ahamadiyya Muslim Community USA というところから、緊急メールが来たのでした。
石水展示会が行われていたパサデナのハンティングトン・ライブラリーを3時過ぎに出たのですが、30分くらいでチノの着くかと思っていたら、土曜日にもかかわらず、しかも、まだクリスマス休暇が続いているというのに、途中のフリーウエーが渋滞していてチノのモスクに着いたのはちょうど4時でした。
モスクはかなり大きな建物で、入り口では大勢の男性ばかり立っていて、きびしく警備しているふんいきでした。テレビの中継車も来ていました。集会は4時30分までとニュースリリースには書いてあったのですが、対応に出てきた男性からゲスト登録に行くように言われ、その場所に行くと、コンベンションの時にぶらさげる名札(バッジ)を作ってくれました。そしてランチ・ボックス・サイズの黒い箱をお土産にくれました。食べ物かなと期待してあけると、アラビア語に英訳の付いた立派な表装のコーランとこの教団の教えを書いた英文の小冊子が入っていました。
この教団の正式な日本語訳は、アハマディア・ムスリム協会といいます。名古屋にモスクがあります。2011年3月の東日本大震災のとき、震災後、わずか3日目に、石巻で炊き出しを始めたイスラム教の団体が、このアハマディア・ムスリム協会でした。わたしの印象では、イスラム教世界における「創価学会」という勢力と立場のような教団です。
アハマディア協会は、イギリス統治時代のパンジャブ(現在はインド領)でMiraza Ghulam Ahmad (1835-1908)を教祖として生れた教団で、この教祖を「メシア」(救世主)としていることから、イスラム教世界では異端と見られいます。しかし、信者は広範に広がり、世界200カ国にいて、その数は一千万人以上と教団は言っています。パキスタンでは、アハマディア協会の建物は、その教義からイスラム教のモスクとしては認められず、迫害を受けています。
26日の集会は、アハマディア協会の米国西部地区の定期大会で、モスクの建物ではなく、大きな仮設テントの中に約1500人の信者が集まっていました。今回は、サンバナディーノ銃撃テロの直後だったので、テロに反対するというテーマが大きく取り上げられたのでした。4時30分に終わる予定だった大会は4時15分あたりから来賓挨拶が始まり、終わったのは5時30分くらいでした。こうゆうことはよくあるので、取材は、時間に遅れても、行ってみるとけっこう収穫はあるものです。
来賓は、地元選出の連邦下院議員、カリフォルニア州上院議員、ユダヤ人のアップランド市長、アイルランド人のコロナ市副市長と、地元の有力政治家と人種を代表する人が来ていました。とくに連邦下院議員は、日本では衆議院議員に匹敵するわけですから重みがあります。それから、サンバナディーノ銃撃テロのとき、記者会見のようすがテレビで全世界に伝えられたサンバナディーノ市警察本部長のジャロッド・ボーグアン氏も来ていました。
わたしのような、メディアを含めて信者ではないゲストは100人くらいが来ていて、大会のあと、食事が用意されていました。わたしは午後7時30まで、インド料理を食べながら、アハマディア協会の信者青年と話しました。このチノのモスクは、パキスタン人の信者が多く、20代の青年の生い立ちは、銃撃テロの犯人と同じでした。親たちは、貧しくアメリカに来て地道に働き、本人たちはアメリカで生れて、英語の教育を受けて、かなり成功していました。
パリ攻撃テロが起こって、米国のイスラム信者に会ってみたいと思っていたのですが、12月26日は、思いがけず、その手がかりを得ることができました。
ロサンゼルス・タイムズ記事
Islamic Convention will confront fears and concerns after shootings, amid Trump
http://www.latimes.com/local/lanow/la-me-ln-islamic-convention-20151226-story.html