
写真は、ゴッホの有名な「郵便配達夫ジョゼフ・ルーラル」と歌川国定の浮世絵「大工・六三郎を演ずる歌舞伎役者・二代目尾上松輔」です。国定(1786-1864)の浮世絵がゴッホ(1853-1890)の作品のお手本だったことを、実物を展示して見せてくれるのです。
2015年10 月30日からサンフランシスコのアジア美術館で
Looking East: How Japan Inspired Monet, Van Gogh, and other Western Artists が始まります。
展示期間は2016年2月7日までです。 www.asianart.org
この展示企画の英文タイトルを、直訳すると、
ヨーロッパ人の見ていた東:モネ、ゴッホなどの西洋画家に日本はどのような影響を与えたのか
ということでしょうか。
この企画は、ボストン美術館の版画・ドローイング部門のキューレーター、ヘレン・バーハム博士の手によるもので、ボストン美術館の所蔵作品を並べて、いかに、西洋の画家や工芸家が、日本の影響を受けていたかを、見せるものです。
写真は、ゴッホの有名な「郵便配達夫ジョゼフ・ルーラル」と歌川国定の浮世絵「大工・六三郎を演ずる歌舞伎役者・二代目尾上松輔」です。国定(1786-1864)の浮世絵がゴッホ(1853-1890)の作品のお手本だったことを、実物を展示して見せてくれるのです。ゴッホの郵便配達夫も、国定の浮世絵もいずれも、ボストン美術館の所蔵品だというのですから、ボストン美術館のスケールにあらためて驚かされます。
また、ボストン美術館は、モネの作品も世界で一番多く、所蔵しており、モネの「睡蓮の池」もこの企画の中に登場します。
ゴッホやモネなどの印象派と呼ばれる西洋画家に、日本の浮世絵が影響を与えていたという話は、日本の学校の教科書にも出てくる話ですが、どの作品が誰に影響を与えていたのかという、細かいことは、一般にはまったく知られていません。その具体例を、アジア美術館の3つのギャラリに展示されたボストン美術館所蔵170点によって見ることができるのです。
実はこの展示企画は2014年1月から始まっており、
テネシー州ナッシュビルのFrist Center for the Visual Art (2014年1月31日から5月11日)
東京の世田谷美術館(2014年6月28日から9月15日)
京都市美術館(2014年9月30日から11月30日)
名古屋ボストン美術館(2015年1月2日から5月10日)
カナダ・ケベックのMusee National des Beaux-Arts du Quebec (2015年6月11日から9月17日)
を回って、今回のサンフランシスコのアジア美術館が最後の展示です。
このボストン美術館の企画展は日本でも、すでに実施されていたのですが、日本で使われた企画展タイトルを見たとき、これでは、多くの観客を逃がしたと思いました。
日本でのタイトルは「ボストン美術館・華麗なジャポニズム展・印象派を魅了した日本の美」でした。
もし、わたしが、日本の美術館の担当者であれば「ゴッホ、モネなど西洋画巨匠がまねした日本の美術」とするでしょう。