2016/ゲッティー・センターの敦煌莫高窟展、5月7日ー9月4日

Cave 275, view of the interior and sculpture of a bodhisattva, Northern Liang dynasty (420 429 CE), Magao caves, Dunhuang China. Photo by Wu Jian. © Dunhuan Academy

Cave 275, view of the interior and sculpture of a bodhisattva, Northern Liang dynasty (420 429 CE), Magao caves, Dunhuang China. Photo by Wu Jian. © Dunhuan Academy

ゲッティー・センター

敦煌の洞窟寺院:中国のシルクロードに見る仏教美術

2016年5月7日から9月4日

詳しくは英文テキスト http://www.culturalnews.com/?p=17917

ゲッティー・センターの「敦煌莫高窟とんこう・ばっこうくつ」展で日本の仏教美術の原点を発見しました

西本願示ロサンゼルス別院の開教使、中田和朗千先生 (Cultural News Photo)

西本願示ロサンゼルス別院の開教使、中田和朗千先生 (Cultural News Photo)

6月26日、ロサンゼルス西本願寺の開教使、中田和朗先生による企画で、ゲッティー・センターを訪れ、「敦煌莫高窟とんこう・ばっこうくつ」展を見学してきました。

中央アジアのゴビ砂漠の東端に、4世紀から14世紀にかけて作られた仏教遺跡「敦煌莫高窟とんこう・ばっこうくつ」の展示がゲッティー・センターで5月7日から9月4日まで行われています。

敦煌で発掘された仏画や仏教美術の展示は、イギリスの大英博物館とフランスの国立博物館に所蔵されているものが、来ています。

みどころは、3つの窟(ケーブ)の実物大のレプリカです。非常に正確に再現された窟の内部に入ると、見ている自分がロサンゼルスにいることを忘れてしまいます。

3次元映像で、窟の中の釈迦とその弟子、如来の彫像を見る部屋もありました。

こうした映像とレプリカをロサンゼルスに持ってくることができたのは、ゲッティーが25年間にわたって、莫高窟の修復を援助してきたからでした。

ゲッティーの「敦煌莫高窟」の仏教画や彫像は、日本にある仏教画や彫像と様式が同じなので、違和感はなく、むしろ親しみを感じます。1000年前に中国ではやっていた仏教画や彫像が、敦煌に残っていて、日本に伝えられたものはその様式をくずさずに伝承されたのだと思います。

ゲッティー・センターの入場は無料ですが、駐車料金が15ドルかかります。週末は入場者が多いです。9月4日までは休館日はありませんが、開館時間は曜日によってことなりますので、下記のサイトで確認してください。

http://www.getty.edu/research/exhibitions_events/exhibitions/cave_temples_dunhuang/index.html

カルチュラル・ニュース編集長、東 繁春

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Dr. Wang, left, and Shige Higashi, Cultural News

Dr. Wang, left, and Shige Higashi, Cultural News

2015年7月15日、ロサンゼルスのゲッティー・センターで記者会見があり、敦煌研究院の院長、王旭東(Wang Xudong, 写真、王さんと東繁春)博士とお会いしました。

敦煌研究院は、1943年の設立で敦煌の仏教遺跡の研究・保存をしているところです。王さんは25年間、敦煌研究院で仕事をしており、今年、院長(英語ではdirector) に就任したところで、たいへん張り切っていました。

日本にも頻繁に行っているということで、最近も半年、東京芸術大学に滞在しました。

日本と敦煌との関係はたいへん古く、1958年には日本で敦煌莫高窟展が開かれています。その後、何回も日本で展覧会が開かれています。

東京芸大の学長だった平山郁夫さんのことを、王さんに聞いたら、平山さんは何回も敦煌に来ている、という返事でした。平山さんが最近、亡くなったことは残念だと言っていました。

ゲッティーの記者会見では、ゲッティー美術保存研究所と敦煌研究院が25年にわたって共同で仏教美術の保存に組んでおり、今回は、25周年を記念する展覧会であることが発表されました。

ゲッティー・センターでの敦煌莫高窟展の英語名は

Cave Temple of Dunhuang: Buddhist Art on China’s Silk Road

で、日本語にすると、敦煌の洞窟寺院:中国のシルクロードに見る仏教美術

となるでしょう。

会期は、2016年5月7日から9月4日までです。ゲッティー・センターの入場料は無料ですからこの期間、ぜひ、ロサンゼルスを訪問してください。

「敦煌の洞窟寺院」展は、アメリカでは、初めての敦煌莫高窟の展示会になります。莫高窟のレプリカを作り、3カ所の寺院がゲッティー・センター内に再現されます。また、イギリスやフランスの有名美術館・博物館の所蔵品も出展されます。

ゲッティーは、大英図書館から「金剛経」が貸し出されると発表しています。この「金剛経」は現存する世界最古の書籍で868年に作られたことがわかっています。

最初、ゲッティーから Cave Temple of Dunhuang 展についての記者会見をするという通知を受けたときは、どんな展示なのか、まったく検討がつかなかったのですが、Dunhuang が敦煌のこととわかると、とたんに理解できました。

敦煌仏教遺跡の観光は、20年前は、日本人とヨーロッパ人だけでしたが、最近は、韓国人、中国人の観光客が多くなっています。もしかしたら、敦煌遺跡については、中国よりも、日本での知名度のほうが高いのかもしれません。

そして、なにかと関係が難しくなっている中国と日本ですが、平山郁夫さんが頻繁に敦煌を訪れて、絵を描き、保存に協力してきたように、仏教遺跡の保存と研究というテーマであれば、日本人と中国人が協力できるのではないかと、考えました。

国際交流というのは、仲良くすること自体が目的ではなく、共通の目的を持って行動することがあって、その後から友好が生まれてくるのだろうと、考えました。       (カルチュラル・ニュース編集長、東 繁春)

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2015年6月25日 – ゲッティー・センターで2016年5月から「敦煌石窟寺院」展が行われることが公表されました。展示会の説明会が7月15日に、ゲッティー・センターで行われます。