
中日新聞 コラム「海外の風:新聞 人を結んでこそ」
記事と写真:山口哲人(中日新聞/東京新聞ワシントン特派員)
中日新聞 2025年4月19日11版4ページ
米ロサンゼルスの日系人街・リトルトーキョーにある禅宗寺で、少し不思議なコンサートが開かれた。日本文化に関するイベントなどを紹介するインターネットの英字新聞「カルチュラル・ニュース」編集長の東繁春さん(71)が主催した。
演者の名古屋出身の音楽家小塩賢一さん(59)は東さんに協力すべく、自宅のあるアリゾナ州から車で約8時間かけて駆けつけた。懐かしの昭和歌謡や踊りたくなるような沖縄の三線(さんしん)、迫力のある和太鼓などで来場者を魅了した。
このコンサートの目的は何か。1998年に英字新聞を創刊し、5年前に紙の発行をやめてネット配信に切り替えた東さんは「メディアの活動を通じてコミュニティーをつくっていきたい」と語る。足を運んだ約50人は自身の知り合いや支援者が中心で、来場者同士をつなぐコミュニテーを提供しているのだ。
「メディアはただ単に情報を伝えるだけでは読まれない時代になった」と東さん。皆で坂本九の「上を向いて歩こう」を大合唱する一体感に触れ、人と人の結節点になることが新聞の担うべきひとつの役割だと悟った。(山口哲人、写真も)
やまぐち・あきひと=2025年3月から、東京新聞/中日新聞ワシントン支局特派員。東京新聞は名古屋に本社がある中日新聞社が発行しているため、東京新聞の山口記者はワシントンでは東京新聞と中日新聞の両紙の特派員をしている。

