サニー関さんが5冊目の絵本「北斎の娘」を出版
日本の新民話を新しい構想で出版している南カリフォルニア在住のサニー関さんが、5冊目になる絵本「北斎の娘」をタトル出版社から発行しました。すでに「招き猫の話」「日本最後のかっぱ」「ゆこちゃんとダルマさん」「こけしの話」(すべて日英語のバイリンガル・ブック)が上梓されており、一人でリサーチ、ストーリー、イラストレーション、バイリンガル・ブックを仕上げるため、ほぼ5年ごとの出版です。海外でも人気の招き猫をはじめ、カッパ巻きやダルマ人形、こけしなどの誕生秘話を、ユニークな視点で絵本にまとめ上げ、ディズニー・チャンネルや英国BBCの子供番組でも再三取り上げられてきました。
葛飾北斎は日本より海外での評価が高い画家で、「神奈川沖浪裏」(大波と富士山)をはじめ、「北斎漫画」で「マンガ」を流行させた張本人です。90歳まで生き、3万点以上製作した“超人“と伝えられますが、近年の調査で末娘の栄女(お栄、応為)が、北斎のアシスタントとして大活躍したことが解ってきました。栄女は10歳のころ、すでに才能をあらわし読本の挿し絵などで認められてゆくのですが、歳を追うに従い署名をしなくなります。これは封建時代に女性の画家と言うだけで見下げられ、買い叩かれた結果と見られ、北斎が70歳頃、卒中で体が効かなくなった時期から逆に仕事量が急速に増えたのは、出戻りして同居し始めた栄女の手助けによるものと推察されています。
常に父親を支えて、最後まで看取った栄女を北斎は、「女を描かせたら、あいつにゃあ、まるでかなわねぇ」といわしめた力量の彼女の少女時代を、この絵本はイキイキと伝えています。
タトル出版社は巻末に8ページを割き、栄女の作品と浮世絵の紹介を加えた特別バインディングで仕上げ、すでにヨーロッパからの注文が多く来ているそうです。
クリエイティヴ・チルドレン・ブックの2024年度最優秀絵本賞を獲得、アジア文化啓蒙に功績のある書籍に与えられるフリーマン文化賞の有力候補となっています。
同絵本は紀伊国屋書店、日系ミュージアムのギフトショップ、有名美術館のギフトショップなどで求められます。定価は$17.99。