将来の日本のリーダーを育てる全米日系博物館の「渡邉利三デモクラシー・フェローシップ」初年度のフェロー選出者を発表
全米日系人博物館 (Japanese American National Museum) は、2024年度より開始する渡邉利三デモクラシー・フェローシップの第1期参加者を発表しました。渡邉・トム・利三氏からの寄附をもとにした本フェローシップは、さまざまな分野で活動する将来の日本のリーダーたちの知識と経験を深めていくことにより、グローバルな規模での民主主義を促進すると同時に、日米間のつながりを強化していくことを目指しています。
2024年度のフェロー選出者は、岩川雄太、小磯洋光、増永祐子、大竹くるみ、篠原史仁、德山拓一、若井康一郎の8名(敬称略)です。
「渡邉利三デモクラシー・フェローシップ・プログラムの設立を可能にする寛大なご寄附をくださったトム・ワタナベに心よりお礼を申し上げます。選出された第1期生の皆さん、おめでとうございます。皆さんを当館JANMのコミュニティーで歓迎できることを楽しみにしています。
このフェローシップの基金は、第1期、そしてその後に続く将来のフェローたちが、グローバルな民主主義、世界的な安定と繁栄に貢献する日米二国間のパートナーシップを構築することを可能にしてくれます。
フェローたちは、ロサンゼルス、ワシントンD.C.、そしてマンザナー強制収容所跡で日系アメリカ人の歴史と民主主義について学ぶことを通して、グローバルな民主主義の原則を守るための方途や、日米関係を強化し、国境を越えた問題への連帯した取り組みを支えていきます」とJANM館長兼CEOのアン・バロウズは話します。
フェローは2週間にわたって米国の複数の都市を訪れるほか、訪米後もオンラインと対面での対話を継続していく予定です。ロサンゼルスでは、日系アメリカ人の歴史と民主主義に関する一連の視察、セミナー、ワークショップを体験し、さまざまな社会問題の解決に取り組む多様なコミュニティー団体と面会します。また、第二次世界大戦中の日系人強制収容所の跡地であるマンザナー国立史跡を訪問します。その後、ワシントンD.C.を訪れ、政府、民間企業、草の根団体のリーダーと会い、政策決定プロセスや米国における民主主義のユニークな歴史について理解を深めます。
第1期フェローについては下記をご覧ください。フェローシップのプログラムの詳細については、janm.org/ja/democracy/watanabe-democracy-fellowship をご覧ください。
渡邉デモクラシー・フェローシップ第1期フェロー
岩川雄太
住友商事株式会社勤務。2008年にNTTコミュニケーションズ株式会社に入社後、インドとエチオピアで変革的な電気通信イニシアチブを主導。社会的・経済的進歩を推進するためにテクノロジーを戦略的活用してきた。インドでは、日系大手顧客向け営業責任者として、チームを率い、主要顧客向けにコンサルティングサービスから導入、運用までを一括に提供し、ICT環境のモダナイゼーションとビジネスDXを加速させた。2023年、住友商事株式会社に入社。エチオピアで遠隔地へのデジタル・アクセスを拡大するプロジェクトにて事業計画・ファイナンスを担当を担当し、現地の教育・経済機会に直接貢献している。
プロジェクト・マネジメント、デジタル・イノベーション、インクルーシブ・リーダーシップに関する専門知識を活かしてグローバルな課題に取り組むとともに、コミュニティーと経済発展のために情報通信技術の活用を加速させ、人々の生活と世界に変化をもたらすことに力を尽くしている。
小磯洋光
東京都出身。翻訳家・詩人。イースト・アングリア大学大学院文芸翻訳科と創作科を修了。訳書にアン・ カーソン『赤の自伝』、テジュ・コール『オープン・シティ』、グレイソン・ ペリー『男らしさの終焉』など。オーシャン・ヴオンなど詩人の作品の翻訳も行う。
日本語と英語で創作を行い、「現代詩手帖」やアメリカの「Poetry」誌などに詩を発表している。移民への関心から、アーティスト高山明のプロジェクト「BGM/みんなのうた」に参加。このプロジェクトは4人の詩人が4人のアジア系移民にそれぞれインタビューを行い、移民たちの物語をもとに、4カ国で歌われている歌を日本語の詩に翻訳するというもので、2023年秋に渋谷PARCOで公開された。
イギリスの文芸誌「Wasafiri」の日本文学特集号でゲストエディターを務める。詩誌「20:30」(ニジュウサンジュウ)代表。東京・神楽坂にある、アート活動を行う者たちが運営する書店「コ本やhonkbooks」の店員でもある。
増永祐子
オリックス株式会社、IR・サステナビリティ推進部担当部長。オリックスグループのサステナビリティ推進を2019年からリード。役割はオリックスの取締役会やCEOとサステナビリティについて議論することからサステナビリティと部署の役割について社員へ説明することまで多岐にわたる。社内調整以外にも投資家、メディア、ESG格付けなどの社外ステークホルダーとの対話も定期的に行う。
オリックス入社当初はクロス・ボーダー取引や海外現法のリーガル・コンプライアンス機能をサポートする社内弁護士として従事。オリックスに入社する以前は米国の弁護士事務所Davis Polk&Wardwellの東京オフィスでキャピタル・マーケッツ業務に、NYオフィスで環境法業務に従事。
アメリカ・ニューヨーク出身、現在は東京在住。英語と日本語はネイティブ、フランス語と韓国語は堪能。現在の業務は和英で行う。趣味はコーラス、踊り(地唄舞名取)、料理、美術鑑賞、音楽鑑賞(クラシック、オペラ、K-POP)。
大竹くるみ
独立行政法人国際交流基金勤務。日本研究部のプログラム・オフィサーとして、日本研究フェローシッププログラム及びその他助成プログラムの北米・中東地域を担当する。世界の全地域において総合的に国際文化交流を実施する日本で唯一の専門機関で、世界の日本研究促進を目指す。国際交流基金を中心とした活発な学際コミュニティ創出のため多様なネットワーキングイベントを実施し、博士課程在籍フェローを対象とした月次ライティンググループ、年次フェローカンファレンス、また日本ジェンダー史ミニ・カンファレンス等を企画。
東京外国語大学国際社会学部を卒業。アラビア語とペルシア語を学び、アジアから中東への移住労働者について研究を行う。言語と文化への強い想いを生かし、日本と世界の人々をつなげ、相互理解を深めることに注力する。
篠原史仁
外務省北米局北米第一課・北米交流室において、米国やカナダとの研究学術機関との協力や知的交流の促進、日系人をはじめとする、マイノリティへのアウトリーチを担当するとともに、米国やカナダとの人的交流全体の企画調整業務を行っている。前職では官邸国際広報室において首相官邸及び日本政府政策広報キャンペーンのデジタル戦略の企画立案やホームページ、SNS管理、英語翻訳の監修を担当した。在ニューヨーク総領事館及び在トンガ王国日本国大使館にて勤務。
慶應義塾大学卒業、一橋大学大学院経済学研究科経済学修士課程及びミシガン大学公共政策大学院修了。ダニエル・K・イノウエ・アジア太平洋安全保障センター上級安全保障協力プログラム修了。
德山拓一
森美術館アソシエイト・キュレーター。1980年静岡県生まれ。京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAを経て、2016年4月より森美術館アソシエイト・キュレーター。京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAでは、グイド・ヴァン・デル・ウェルヴェ個展「無為の境地」、奥村雄樹個展「な」(2016年)、アピチャッポン・ウィーラセタクン個展「PHOTOPHOBIA」(2014年)のキュレーションを担当。森美術館では「SUNSHOWER: 東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」(2017年)、「MAMプロジェクト025:アピチャッポン・ウィーラセタクン+久門剛史」(2018年)、「六本木クロッシング2019:つないでみる」(2019年)、「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」(2022年)、「シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝」(2024年)などを担当。東北芸術工科大学客員教授。
若井康一郎
奈良県出身。2017年、青山学院大学卒業。日本美術や文化、歴史に関する比較芸術学の学士号を取得。在学中の2014年に1年間休学し、ニューヨーク市で英語とファッションを学び、また、NPOでボランティアを経験。卒業後はユニクロの幹部候補プログラム(UMC)に参加し、リーダーシップや商売の基礎を学び、2019年には店長に就任。ユニクロが大切にする日本の価値観を、商品やサービスを通じてお客様へ発信した。2020年には、ユニクロを多様な人材がより活躍できる組織にするために、グローバル本部のダイバーシティ推進チームへ異動。社内制度の整備、執行役員をはじめとする管理職層へのDE&I研修の実施、LGBTQ+や異文化コミュニケーションを推進する2つのネットワークグループの運営を行ってきた。現在は、製品デザインとマーケティングにおける人権尊重を推進するために、ガイドラインの策定や研修を行っている。
渡邊裕希乃
慶応義塾大学法学部法律学科を卒業後、株式会社三菱東京UFJ銀行(現、株式会社三菱UFJ銀行、以下MUFG)へ入行。中小企業の法人営業、商品所幹部でのローンストラクチャリング等の業務に従事。現在は、MUFG ニューヨーク支店にて日系上場企業の米国現法に対する法人営業業務を担う。主な業務は、顧客の米国での決済オペレーションのサポートや、課題やニーズに対し、ローンや預金をはじめとする銀行商品を活用した解決策の提案活動。幼少期の海外生活を経て、英語でのコミュニケーション・スキルとさまざまなバックグラウンドを持った人々と良好な関係を築けるスキルを身につけている。
渡邉利三デモクラシー・フェローシップは、民主主義的な価値観や日米二国間の文化理解と協力を促進することにより、グローバルな民主主義を推進し、日米間の絆を強化します。渡邉利三氏の寛大な支援のもと、渡邉利三デモクラシー・フェローシップは、政府、芸術、メディア、教育、非営利団体、NGO、企業など、さまざまな分野における将来の日本人リーダーの知識の基盤と専門性を高めることに重点を置いています。
より深い理解、協力、共通の価値観を育むことで、フェローシップはより強固でしなやかなパートナーシップを築き、日米両国に利益をもたらすだけでなく、世界の安定と繁栄にも貢献することを目指しています。
ダニエル・K・イノウエ・民主主義保存全米センター(デモクラシーセンター)について
デモクラシーセンターは、訪問者が過去と現在のアジア系アメリカ人の経験を検証し、人種、アイデンティティー、社会正義、民主主義の形成について話し合うことを可能にする場所です。あらゆる年齢層の人々が集い、民主主義について学ぶことで、意識変革、文化の祝祭、市民参加を促進し、重要な課題について一般市民や公務員に教育の機会および情報を提供します。それによって、コミュニティー内およびコミュニティー間で積極的な変化を引き起こすための力を生み出し、アメリカの民主主義を形成する価値観を探求します。デモクラシーセンターは、コミュニティーが自己の権利を主張し、アメリカ人であることの意味を進化させながら探求し、全ての人をひとつにする行動につながるような解決策を模索していきます。
全米日系人博物館(JANM)について
1985 年の設立より、JANM は日系アメリカ人の経験を共有することによって、アメリカの民族的・文化的多様性への理解と認識を促進してきました。ロサンゼルスのダウンタウンの歴史あるリトルトーキョー地区に位置する JANM は、第二次世界大戦中の強制収容による厳しい教訓が忘れられることのないよう、公民権のとりでとしてあり続けています。
スミソニアン協会公式加盟期間であり、アメリカの文化財であるJANMは、伝統的な博物館のカテゴリーを超えたハイブリッドな施設であり、歴史だけではなくアートの中心でもあります。日系アメリカ人の声を伝えるとともに、あらゆる人が自分たちのヘリテージや文化を探求できる場を提供することを目指しています。
1992年の一般公開以来、JANM は 100 展以上の展覧会を開催し、そのうち 40 展はアメリカのスミソニアン博物館やエリス島移民博物館などの全米各地をはじめ、日本や南米の主要な博物館を巡回しました。JANMは火曜日、水曜日、金曜日から日曜日は午前11時から午後5時まで、木曜日は午後12時から午後8時まで開館しています。第3木曜日は終日入館料無料で、その他の木曜日は午後5時~8時まで無料です。詳しくは、janm.org をご覧いただくか、ソーシャルメディア@jamuseum でフォローしてください。