板橋恵理のカリフォルニア人間観察:三度目のコロナ生活

2021年1月10日、ロサンゼルスにて、板橋恵理

去年の三月のコロナ事態の発生直後、  自斎や外出禁止が次々に規定され、 何が何だか分からぬまま不安な生活に入った。  ロックダウン、  ソーシャルディスタンシング、  エッセンシャルビジネス (何回聞いてもこの呼称は変だと思う) など、  それまで聞いたことのなかった用語を毎日耳にし、 かつ使うようになった。

多くの事業や会社が在宅勤務を開始し今でも続行中だ。   当時課の者を即帰宅させ、  周りが次々と帰宅していく中、  私は当課で働いていた学生バイトの在宅勤務用のラップトップの調達に忙しく、  すぐには在宅勤務が出来ない状態だった。  前代未聞の事態が社内での混乱を招き、 ラップトップがようやく届いたのが二週間後だった。  無事に届くまでは心配と不安の気持ちでいっぱいで、  1992年に起きたロス暴動を思い出した。  ロスのダウンタウンの数か所が燃えている風景は、  今にもこっちに向かって近ずいて来るようで、  早く避難しなくてはと気が気ではなかった。

初夏頃より、  新しい規定範囲においてのビジネス開始が可能となり、  レストラン、 美容室、  ジムなども再度開業することが出来るようになった。  レストランやジムは、  野外テントを店の前に設け、  マスクの上に更にプラスチックのシールドを着用するなど、  様々な工夫を凝らしていた。  当時私は様子を見ながら十カ月ぶりにヘアーカットに行き、  又その数週間後に半年ぶりにレストランで友人とお昼を楽しんだ。  楽しんだといえど、  あまりお喋りはせずに、  飲食中以外は勿論マスクをしなおし、  三十分後二人ともそそくさと席を立った。  それでも久々の友との会合は嬉しく貴重だった。

十か月経った今現在、  事態は改善どころか悪化している。  ロスでの感染者は日に日に増加し、  病院の集中治療室は既に満室、  医者や医療関係者も不足し、 重体感染者が救急車で運ばれても病院側ではもう対応不可の状態で、  他の助かりそうな感染者が優先されるそうだ。  ワクチンを受けた医療関係者が、  自分の家族にワクチンを分けた例もある。  そんな中、  いまだにマスクをしない人々がいて、  プロテストをしている光景もニュースで見る。  以前コロナの存在や規定を信じなかった人がコロナにかかり、  闘病中の病室から皆に規定を守るよう呼びかけている姿をテレビで見たが、  他の規定を守らない人達より死の脅迫を受けているそうだ。   信じられない。  恐ろしい。  人間はそこまで醜くなるものなのか?

三回目のコロナ事態は、  最初より更に厳しくなっている。  油断し始めた夏から年末年始を理由に旅行したり、 大勢で集まったことが原因とされている。  一年近く経った今、  何を学んだのだろう?  コロナ事態と並行し大統領の選挙も大きな話題となり、  今月後半の大統領任意式を前にいまだに騒動が絶えない。  コロナ収束に向け、  今後の政府の動きも重要視される中、  マスク着用、  在宅、  ソーシャルディスタンシングは政府でなく我々市民一人一人の責任である。  四度目、 五度目のコロナ生活になってはいけない。

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