板橋恵理のカリフォルニア人間観察:2021年、新らしい年に向けて

2020年12月28日、ロサンゼルスにて、板橋恵理

毎朝毎夕近所を散歩するようになり数年経つが、   クリスマスの直後よく目にするのは、  まだ緑の鮮やかなクリスマスツリーが週のゴミ収集日に出されていることだ。

社会的や経済的に関わる出来事は毎年何かしらあるが、  2020年はコロナが世界中の話題になったのは言うまでもないだろう。   毎日のニュースや人々の会話に、  出なかったことがない程、  コロナが一人一人の生活を大きく占めていた。

今後の見通しか分からずままに外出禁止やら自斎、 在宅勤務などが次々と規定され始めたのが三月の中旬だったろうか。  クリスマスから年末年始にかけ、  規定を守らぬ人達が大勢で集まれば、  来年更に感染者や死者の増加に繋がることが心配されている現在、  こうして2021年を迎えるのも不安だ。

自斎や在宅が多くなった為、   健康作りも兼ねて散歩をする人達が増えたり、  オンラインでの習い事を始めた人達もいれば、   気分転換にと、  園芸を始めたり、  部屋の模様替えをしたり、  ペットを飼い始めた人達もいた。

私もそのうちの一人で、  毎日の運動時間も増やした。  更にミシンを購入しマスクを三十枚程縫った。  こんな暗い世の中だからせめてマスクは明るい色彩とデザインでと、  赤、 紫、 緑、 黄色などの華やかなものから、  子供が喜びそうな恐竜 (Dinosaurs) 模様の布で縫ったマスクもある。
例え中年の私でもそんなマスクを着用して食料の買いだしなどに出かけると、  必ずと言っていいほど、  店員や周りの客から、 「あっDinosaursだ!」、 「そのマスク良いですね」など微笑まれた。  そのたった数秒の赤の他人との対話なのに、 何か大切な出会いを体験した気さえなったのも、  暗い事態の中で人との接触に飢えていたからかもしれない。

園芸とまではいかないが、  部屋を多くの植物で飾るようにもなった。  と言ってももともと面倒臭がり屋で、  以前サボテンさえ枯らしてしまったという私である。  なので 手入れが最小限の植物を何種類か選び、日の当たるリビングの一角に植物コーナーを設けた。  ふざけてアボカドの種も植えたら、  何と茎と葉が伸びてきた。  日に日に成長していく植物を見るのは嬉しい。

在宅が続けば、  我が家の老猫も嬉しいのか膝にのっかってきて喉をゴロゴロ鳴らしながら昼寝をする機会も多くなった。  その背中を撫でてやりながらお互い癒されているのかもしれないと思う。

ゴミ収集の日の朝の散歩で、  一本、  二本。。。とゴミに出されたクリスマスツリーを数えていく。   飾りの取られた裸の、  しかしまだ新しくて健康そうなクリスマスツリーを見ていると、  切ない気持ちになる。

でもツリーが 例え短期間でも、  人々の心を、  そして暗かった2020年を少しでも明るくさせてくれたなら、  役目を果たしたことになるのだろう。   運動も、  園芸も、  習い事も、  皆新しい年へ希望と願いを込めて始めたことだと思う。

コロナが終息しても続けていきたいものだ。   そしてマスク着用も、  風邪気味の時やアレルギー季節、  そして医者や歯医者へ行く時も続け、  お互いを守り人々の日常生活に溶け込んでいって欲しいと願いつつ帰途につく。

板橋恵理=関東地域で生まれる。家族の転勤と学校のため、幼年期から現在にいたるまで、日本ーヨーロッパー日本ーアメリカで生活する。現在は、アメリカ人の夫と老猫とロサンゼルスに在住している。趣味のひとつである太鼓にはまり、5年がたつ。老猫の名前もタイコ。

板橋恵理のカリフォルニア人間観察(エッセイ一覧)

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