2020年12月21日、ロサンゼルスにて、板橋恵理
2020年はコロナ発生を始め、 人種差別騒動、 プロテスト、 大統領の選挙、 そしてカリフォルニアの数々の山火事と、 例年になく次々と人々に大きな影響を及ぼす年となり幕を閉じようとしている。
コロナワクチンの配送が行われているが、 一般の市民に届くには来年の夏か秋と今現在は言われていて、 コロナ終息に至るまではまだかかりそうな気配である。 例え終息に至っても、 こうして九か月間もコロナ環境がもたらした、 社会的、 経済的、 心理的な障害から立ち直るには当分時間がかかるだろう。
来年一月の次期大統領の任務式をまじかに、 政治にも落ち着きがないように見受けられるし、 事業不振、 解雇、 失業等の問題は今後も続くだろう。 学校やら他の習い事やクラスも、 いつ教室に戻れるか不明だ。 医者、 その他の予約も早く自由に取れるようになりたい。 コンサートやら美術館にも行きたい。 暫く会っていない友人達ともレストランで集まってお喋りしたい。 年末年始にかけて頻度の多くなる旅行、 外出、 集まり、 買い物等も限定により、 今年はなんとも寂静な、 そして不安な冬を迎えそうだ。
更に今年は、 ミネソタ州で起きた白人警官による黒人殺人事件を発端に、 あちこちで人種差別に対する警察や政府の改正を訴える動きも広まり、 プロテストも行われた。 人種差別の問題は、 証明するのが難しく、 そう簡単に解決できるものではないと思う。 人種の異なる人間が関わる出来事を、 あいにく世間は即人種差別問題と確定しがちだが、 必ずしもそうとは限らないと思う。 周りに迷惑をかけず規律を守り、 正当なプロテストによって自己表明するのは良いが、 プロテストを言い訳に、 マスク無しに叫び回ったり、 何よりも店やら公共物などの破壊や盗みをする行為は目に余った。 コロナ事態で失職し、 数々の不運を被った怒りと悔しさも、 プロテストや悪行為の陰に潜在していたのではないだろうか?
大統領の選挙では予想していたとうり、 共和党の現トランプ大統領と民主党のバイデン大統領当選者への投票数が同点近くまでのぼった。 トランプは政治家でなく、 事業家であり、 かつ民衆が考えていること、 公けに口に出して言えぬことなどを公言するところに人気が集まっていると思う。 しかし2020年に起こった様々なことにピリオドを打ち、 改善を求める意味でアメリカ市民は変化を願い、 バイデンに投票したのではないだろうか。
カリフォルニアは元々砂漠である。 雨量も少なく年中乾燥しているので、 熱風の吹く秋頃に山火事が発生しがちだ。 コロナで生活が厳しくなった上に更に 山火事で家を失った人達の気持ちを思うと胸が痛む。
2020年が終わるにつけて、 気が付いたことがある。 それは今年の冬は早目のクリスマスツリーや明かりが各家に飾られていたことだ。 毎日近所を散歩しているが、 十一月の感謝祭以前より既にクリスマスツリーや明かりを飾る家を何軒も目にするようになった。 まだクリスマスには早すぎて、 情緒に欠けるなと思っていた矢先、 友人宅を訪れる用があった。 リビングに、 大きなクリスマスツリーが飾られていたのを見て驚いた私が口を開く前に、 友人が、 「まだ早過ぎるのは分かっているんだけど、 今年は色々大変なことばかりあったから、 せめてツリーを飾って気持ちを明るくさせ、 来年が良い年となるようにと願って。。。」と 一気に話してくれた。
板橋恵理=関東地域で生まれる。家族の転勤と学校のため、幼年期から現在にいたるまで、日本ーヨーロッパー日本ーアメリカで生活する。現在は、アメリカ人の夫と老猫とロサンゼルスに在住している。趣味のひとつである太鼓にはまり、5年がたつ。老猫の名前もタイコ。
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