2020年12月15日、ロサンゼルスにて、板橋恵理

自斎や在宅、  外出禁止生活は一年中気候の穏やかなカリフォルニアに住んでいる人達にとり難しい。  今現在冬に入りカリフォルニアのみでなく、  他の州でもコロナの感染者が日に日に増えてきている。  コロナ発生から半年近く経った夏から秋にかけて、  皆油断をし始めたのかマスク無しで外出したり大勢で集まるようになったのも原因と言われている。  コロナのテストを受ける人達も増えてきていることもあり、   言い換えればテストを受けていない人達の中に感染者はまだ大勢いるのだろう。

コロナのテストで例え陽性であっても、 必ずしも悪化するとは限らずすぐ治る人達もいる。 しかしその時点で既に廻りに感染させている可能性も大きいわけだ。  逆に今陰性でも、  各自の生活様式に依っては、  翌日陽性になることもあるだろう。  つまり今やコロナ菌は身の回りを漂って避けられなくなっている。

感染者数が増加していくにつれ、  知人の家族や間接的に知っている人達も感染したと耳にするようになり、  段々と感染地域が身に迫ってきたような気がするのは私だけではないだろう。  実際に感染地域が爆発的に広がってきているのは事実である。  身近な例をあげると、  テキサスやキャンサスに住む旦那の親類何人かも、  陽性だったそうだ。  オハイオにいる仕事の同僚の奥さんと子供達も陽性となり、  家族全員暫く自斎していた。   他の課で働いている学生バイトの親類が、  コロナで最近亡くなったと聞いた。   更にロスの近所に住んでいる友人の義理の弟は、  職場の従業員が最近陽性と判明し、  暫く自斎生活をすることになった。

病院の集中治療室(ICU)が満員になってきていて、 その為マスク着用は無論のこと、  自斎、  在宅、  そして外出制限が再度厳しく規定されている。   コロナ患者以外にも集中治療室が必要とされている患者もいるだろうし、  今後も出てくるだろう。   コロナ発生時の三月より、  緊急事態以外の医者や歯医者との予約もキャンセルになったり延期になったところもある。   病気防止に欠かせない定期健診も大切だが、  それさえ現在は容易ではない。  電話やビデオで医者と話をすることが出来るのは、  この環境下便利といえば便利だが、  その予約さえなかなか取れないこともある。  検査が必要になったり、  やはり実際診てもらえば安心する場合も多いにあるだろう。

食料だけでなく、  その他日常生活に必要なものは買いに出なくてはいけないし、  どうしても外出せねばならぬ用もある。    店やスーパーに行けば、  例えマスク着用でお互いの距離を開けねばと頭の中では分かっていても、  実際はと言うと、  どうしても人の間を行ったり来たりしたり、  店内あちこちを歩き回って品を物色しがちである。  マスクをしていても、  必ずしも距離を開けそれを保つのは難しい。  気をつけるようにしても、 これは中々困難なことだ。

コロナは、  過去102年の歴史上最も壊滅的な伝染病と言われている。   幸いワクチンが 予定より早く今週よりあちこちの病院へ配送されるようになったが、  ここで油断すると過去へ逆戻りしてしまい、  現在の規定も更に厳しく、  かつ延長されてしまうだろう。  一般市民にワクチンが届くのは、  早くて来年の夏頃だそうだ。  少なくともまだ半年近くあるわけだ。  しかしワクチンのみが伝染病を終息出来るのではない。

歴史は繰り返される傾向がある。  戦争や人種差別などがそのよい例だろう。  過去から学び将来を築き、  かつ改善させていかねばならない。  今回の伝染病も同様に、  三月以来経験してきたことから学びとり、  規定事項を今守っていくことが我々の責任と役目なのだろう。  そしてそれが早い終息に繋がることを願っている。

くだんの近所に住んでいる友人夫婦とは、  以前も友人宅の庭に椅子を設けお互いの距離を開け、  マスク着用でお喋りを楽しんだり、   一度はそうやって友人の誕生日を祝った。  今回も同じように私の誕生日を四人で祝う予定であったが、  大事をとりキャンセルするとメールが届いた。    例え友人夫婦は感染していなくても、   我々のことをも考慮して決めたことに感謝している。   自分だけを守るのではなく、  廻りの者をも守っていかねば伝染病は終息しないのだ。

板橋恵理=関東地域で生まれる。家族の転勤と学校のため、幼年期から現在にいたるまで、日本ーヨーロッパー日本ーアメリカで生活する。現在は、アメリカ人の夫と老猫とロサンゼルスに在住している。趣味のひとつである太鼓にはまり、5年がたつ。老猫の名前もタイコ。

板橋恵理のカリフォルニア人間観察(エッセイ一覧)

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