ロサンゼルス:長嶋幸和のアメリカ俳句鑑賞「霾(つち)荒ぶ星条旗下に子を捧ぐ」

「霾(つち)荒ぶ星条旗下に子を捧ぐ」古田利子

太平洋戦争時、日系人12万人が強制収容所に送られた。そこから、兵役を志願して戦地に向かう若い二世も大勢いた。そのわが子を、星条旗下に「捧ぐ」と詠んだ一世の母親の切実な思い。霾荒ぶは、作者の心そのものである。

【季語】霾=春

「冬椿ここにも老いし移民妻」井川五橋

自分を「移民」と意識する。それは異国の地に骨を埋める覚悟に結びつく意識だ。裏庭に佇つ妻の姿に、早咲きの椿の凛とした姿が重なる。「ここにも」の「ここ」は作者自身のことではないか。老いた自分を見ながら、その自分に付き添ってきた妻への深い労わりの情がある。

【季語】冬椿=冬