災害時に新聞社でなければできない仕事に、市境や県境を越えたマップ作りがあります。
東日本大震災のときは、陸前高田市は岩手県で、気仙沼市は宮城県でした。同じ県内であれば、現場に行けば、隣接地域の情報が入ってくるのですが、県境があると、そこで、情報の流れが止まるのです。県職員は、自分の県内については対処できますが、隣接県については、なにもできないのです。
熊本地震のときは、熊本市東区と益城町は隣り合っているのですが、被災対策は行政区域で分けられました。市や町の職員も、自分のテリトリー以外では仕事ができません。
今回の災害対策でも、名古屋の消防隊が倉敷市に駆けつけるといった、飛び地コーデネートは、すばらしく出来上がっています。
わたしはこのウエッブサイトで、自分の出身地、広島県呉市を担当しています。呉市が発表するマップは、呉市しか表示されていません。しかし、交通情報や被災情報の共有のためには、広島市、東広島市、竹原市、三原市を含んだマップが必要なのです。
大規模広域災害が発生したときは、隣接の市境や県境を越えた情報共有がとても大事なのです。その仕事ができるのは、新聞社だけです。市境や県境を越えたマップを号外として印刷したり、インターネット配信することで、新聞社の存在意義が発揮されるのです。
(カルチュラルニュース編集長、東 繁春)