2018/ロサンゼルス:移民150周年を記念する「日系パイオニアに感謝する講演会」に400人が参加、9月8日

日系パイオニアに感謝する講演会、2018年9月8日。(Cultural News Photo)

日系パイオニアに感謝する講演会、2018年9月8日。(Cultural News Photo)

2018年は、明治維新から150年、また、日本から最初の移民がハワイに渡った年から150年になることから、ロサンゼルス地域に住む日本人約400人が9月8日、土曜日の午後、トーレンス市内のホリーデーイン・トーレンス・ホテルに集まり「日系パイオニアに感謝する講演会」を開いた。アリゾナ州、サンフランシスコ、サンディエゴ、米東部から参加したひとがいた、また、台湾コミュニティー、ロサンゼルス近郊での訓練のため渡米している自衛隊員も参加していると主催者から発表された。

100歳の浅井菊次さん(左)と雲田康夫さん (Cultural News Photo)

100歳の浅井菊次さん(左)といっしょに詩吟「富士山」を吟じる雲田康夫さん。雲田さんは、浅井さんへの質問係りを担当した。 (Cultural News Photo)

ロサンゼルス在住の浅井菊次さんは、和歌山市生れで、現在100歳。1940年の日支事変の時は、陸軍軍人として中国大陸にいた。帰米二世と結婚していたため、戦後、1955年に4人の子供(11歳、8歳、6歳、4歳)を連れて、ロサンゼルスに渡る。最初の10年間はガーデナー(庭師)の仕事をした後、カルバー・シティーで日本食レストラン「三笠」を30年間経営した。会員制月刊誌「到知」のロサンゼルスの読者会「LA木鶏クラブ」を組織し、現在は名誉会長、生長の家の有力メンバーでもある。

8日の講演会では、この企画の発起人の一人、雲田康夫さんが浅井さんへの質問係りを担当した。雲田さんから「最後の質問として、会場の皆さんに伝えたいことは何でしょうか」。浅井さんの答え「美しいものを美しいと思えるあなたは美しい」。

日系史を勉強しているロサンゼルスの西大和学園の中学生が質問をした。(Cultural News Photo)

日系史を勉強しているロサンゼルスの西大和学園の中学生が舞台に上り、学習した内容を発表した。(Cultural News Photo)

ロサンゼルスの全日制の学校・西大和学園では、日系史を学ぶことがカリキュラムに入っている。今年は西大和学園の中学生26名が日系史クラスを取った。毎年、リトル東京で二世ウィークの際に行われる「ロサンゼルス七夕祭り」に、日系史クラスの生徒が作った七夕飾りが出展され、Spirits of Togethernessカテゴリーで第2位に入賞した。また、同じ生徒たちは、一世や二世への感謝の思いを書いた短冊を二世ウィークイベントに出した。

8日は、日系史を勉強した6名の中学3年生が舞台に上がり、三宅さんと浅井さんにバラの花束を渡し、学習成果を日本語と英語で発表した。

99歳になったばかりのオレンジ・カウンティー在住の三宅明巳さん (Cultural News Photo)

99歳になったばかりのオレンジ・カウンティー在住の三宅明巳さん (Cultural News Photo)

オレンジ・カウンティー在住の三宅明巳さんは、8月12日に99歳になった。1919年にアーディアで生まれ、4歳のとき両親といっしょに両親の故郷・広島県に戻った。1937年に、18歳のとき、ガーディナで農場を経営していた姉夫婦を頼って、ロサンゼルスに戻る。日米戦争が始まり、1942年に米西海岸の日本人・日系人が強制収容された時、収容期日前にユタ州、ソルトレークに移住し、農業に携わった。戦後はロサンゼルスに戻り、ロングビーチ、スタントンなどで農業経営をした。

広島県人会を始め、多くの日系団体の役員を務め、オレンジ・カウンティー日系協会の名誉会長。1983年に旭日双光章、2000年に勲四等瑞宝章を日本政府から受けている。

三宅さんの話「18歳のとき、アメリカに戻るとき、父が言った言葉を忘れることができない。父はアメリカで成功して金を広島に持って帰り、家を建てることができた。しかし、父は、わたしは間違っていたと言った。父は永住権をもらってアメリカに渡ったのだから、自分はアメリカのコミュニティーに尽くすべきだったとあとで思うようになった。わたしには、広島に戻らず、アメリカのコミュニティーのために尽くすことを教えた。」

ロサンゼルスの日系人史を英語で説明した二世の Yoshiyuki Bill Watanabeさん (Cultural News Photo)

ロサンゼルスの日系人史を英語で説明した二世の Yoshiyuki Bill Watanabeさん (Cultural News Photo)

リトル東京サービス・センターの設立者で、32年に渡って所長を務めた Yoshiyuki Bill Watanabe さんが、通訳なしで英語で、ロサンゼルスの日系史を話した。渡辺さんはリトル東京歴史協会の設立メンバーでもある。

渡辺さんは、父親が一世、母親が帰米二世で、戦時強制収容所のひとつマンザナで生れた。1972年にUCLAで社会福祉の修士号を取得した。在学中に、早稲田大学に日本語を学ぶための留学をした。リトル東京サービスセンターのほかに、ロサンゼルス・アジア太平洋コミュニティー基金、アジア太平洋系米国人コミュニティー開発のための全米連合会などの設立に参加している。2012年に日本政府から旭日双光章を贈られている。

渡辺さんの話「私の名前はYoshiyuki で高校ではYoshi と呼ばれていた。わたしの兄もYoshi と呼ばれていたので、私は兄と相談して、わたしがBill、兄がBobと自分たちで名前を作った」

プリンストンから講演に来た目良浩一先生(Cultural News Photo)

ニュージャージー州プリンストンから講演に参加した目良浩一先生(Cultural News Photo)

ハーバード大学で准教授、南カリフォルニア大学で教授を務めた目良浩一(めら・こういち)先生が、戦後、米国移住した自らの体験を語り、戦前の日本人を差別した米国の法律や事件を説明した。日本人と日系人が協力していくことで日系社会の未来ができると語った。

目良先生は1933年、朝鮮京城府(現ソウル市)で生れる。東京大学工学部で修士課程を終了後、フルブライト留学生として1959にプリンストン大学に入学。ハーバート大学で都市計画の博士号を得たのち、ハーバート大学准教授、筑波大学教授、東京国際大学教授、南カリフォルニア大学教授を歴任。現在はニュージャー州プリンストンに住んでいる。

目良先生の話「1959年にプリンストン大学に来たとき、日本人だからと言って人種差別を受けたことはなかった。戦前まで、日本人がひどい人種差別を受けていたことはあとになってわかった」

講演会の最後に、参加者へのあいさつをする「日系パイオニアに感謝する」イベントの最初の発起人、鶴亀彰(つるかめ・あきら)さん。(Cultural News Photo)

講演会の最後に、参加者へのあいさつをする「日系パイオニアに感謝する」イベントの8人の発起人のひとり、鶴亀彰(つるかめ・あきら)さん。(Cultural News Photo)

「日系パイオニアに感謝をする会」の8人の発起人のひとりの、鶴亀彰さんは、これまで、トーレンス姉妹都市協会を始め、数多くの文化活動団体の設立に参加してきた。お正月に着物を着てリトル東京に集まろうという「LA着物クラブ」も鶴亀さんが設立メンバーのひとり。

「日系パイオニアに感謝をする会」の活動資金を集めるために設けられた「平成ラストさむらい」基金には、1人100ドルの寄付者が108人集まった。

「日系パイオニアに感謝する会」の8人の発起人は次ぎのとおり:雲田康夫、鶴亀彰、石丸ひろみ、白井真由美、土田三郎、竹花晴夫(会長)諸橋義弘、水野穣。ボランティア:大川敏子、野村才子、中曽根牧子、三浦リリィ

8月25 日=明治維新と日系移民150年を記念してロサンゼルスに発足した「日系パイオニアに感謝する会」が主催する「日系パイオニアに感謝する講演会」(9月8日)は、満席となりました。

多くの皆様のご協力のお陰で、9月8日(土)にトーレンスホリディインで開催予定の「日系パイオニアに感謝する講演会」はすでに満席となりましたのでお知らせさせて頂きます。皆様より予想を上回る反響を頂き、準備した350席が完売致しました。緊急にホテル側と交渉し、30席を追加させて頂きましたが、それもすぐに売り切れてしまいました。現在でも郵送やメール、電話でお問い合わせが入っており、ご希望に添えないことが心苦しいと共に誠に申し訳なく感じております。取り急ぎ、ご連絡させて頂きます。 (日系パイオニアに感謝する会、8月25日)

日系パイオニアに感謝する講演会.

Tribute to Nikkei Pioneers
Commemorative Event & Panel Discussions
9月8日(土曜日)開場 12:00 開演1:00PM
Holiday Inn Torrance, 19800 Vermont Ave, Torrance, CA

Donation $20 (Sold Out as of Aug. 24, 2018)

総合司会 中曽根牧子 (Rotary Club of Little Tokyo創設者)

対談:100歳の戦後一世と99歳の帰米二世
浅井菊次(ロサンゼルス木鶏クラブ名誉会長)三宅明巳(オレンジ・カウンティ日系協会名誉会長)
モデレーター:雲田康夫・鶴亀彰

講演:日系人の歴史と将来
Bill Watanabe (Little Tokyo Service Center 創設者)
目良浩一(元ハーバード大学准教授、元筑波大学教授、元USC教授)

共催:日系パイオニアに感謝する会、LA木鶏クラブ、オレンジ・カウンティー日系協会

後援:南加日系企業教会、南加日系商工会議所、南加県人会協議会、サウス・ベイ・マネージメント・セミナー、日系パイオニアセンター、南加庭園業連盟、日米メディア協会

日系パイオニアに感謝をする会:会長、竹花晴夫

連絡先:(310) 408-3186          info@nikkei150.org        http://www.nikkei150.org