石井志をん ショートショート

アメリカ文芸
石井志をんのショートショート 「レッドネックブルース」                                           

石井志をん
「私は田舎も田舎者も大嫌いでね」神田は神保町にあるレストランの主人新井浩介が言った時、真理子は出された茶を飲んでいた。
なんと美味しいお茶だろう。和菓子は練り切りのアジサイで薄紫の花弁に透き通…

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アメリカ文芸
石井志をんのショートショート:ドングリとマロニエ

石井志をん
ハローウィンの頃にはドングリが落ちる、ドングリが屋根に当たる音が頻繁に続く、二度三度、三度四度と続いて聞こえる。今年はドングリが豊作らしい。庭に出れば数え切れない程の実が地面に(栗鼠が手をつ…

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アメリカ文芸
石井志をんのショートショート 花野から(二)研ぎ澄ます

石井志をんのショートショート
花野から(二)
 
研ぎ澄ます
石井志をん
紗枝は藤塚毅の二度目の妻である、最初の妻は彼が一方的に離縁したと言う事になっている。
 
小菊の切り花を入れた手桶を下げ…

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石井志をんのショートショート 花野から(その一)抱きしめる

石井志をんのショートショート
花野から(その一)
抱きしめる
石井志をん
玄関のアラームライトが着いた。時計を見ると午前二時を少し回ったところである。書斎の窓の下に物の動く気配がした。落ち葉を踏むかすかな音は…

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