2014/産経新聞 「原爆と平和」を聞く 広島出身の在米ジャーナリスト・東繁春さん

 

産経新聞が「原爆と平和」特集で東繁春をインタビューしました。記事は、8月6日付け、産経新聞広島版に掲載されます。

同じ記事は、産経新聞ウエッブ版にも掲載されています。

【「原爆と平和」を聞く(下)】

被爆者のトラウマ世界に伝えて 東繁春さん 

2014.8.5 20:39 掲載

http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140805/wlf14080520390014-n1.htm

Higashi Headshot

東繁春さん=米ロサンゼルス

米国ロサンゼルスで「カルチュラル・ニュース」というタブロイド判の月刊紙を主宰し、日本文化情報を発信している広島県出身者がいる。ジャーナリ スト東繁春さん(60)。16年間、現地の人に日本人の心を伝える活動を続けてきた。米国生活が30年を越す東さんの目に、戦後69年の日本はどう映るの か。(聞き手 松前陽子)

-広島出身在米者としての平和観は

私は昭和29年に呉市で生まれ、大学の途中まで呉市で過ごし ました。日本で教えられてきたことは、戦争は絶対悪であり、戦争をしてはいけない、ということでした。しかし、昭和56年、27歳でロサンゼルスに渡った 時、米国人の戦争・平和観は日本で教わったこととは全く違っていました。米国人は「よい戦争と悪い戦争」という考え方を持ち、日本と戦った第2次世界大戦 はよい戦争というのが常識でした。

-戦後69年の日本の「平和」をどう考えますか

「日本が平和であった」という考え自体が大きな誤りで、69年間日本人は一貫して、間違った考えをしていると思います。

確かに昭和20年以降の日本は戦争をしていませんし、自衛隊も戦闘に参加していません。しかし、戦後日本の繁栄は朝鮮戦争特需や冷戦によるもので、 この経済成長は人材や資本を国防に集中させたい米国が、日本には車や電気製品といった民生品の生産を分担させ、輸出させた結果です。他国の戦闘で繁栄した のに、自国が戦場でなければ平和という考え方で平和を訴えても、世界に対する説得力はありません。

-世界平和を求める広島の訴えは届いているでしょうか

世界平和を希求する願いは、佐々木禎子さんの千羽鶴の物語が米国の学校で紹介されたり、原爆や被爆者をテーマにした芸術作品が世界中で作られるなど文学的、芸術的には世界に影響を与え、米国政府にも届いているとは思います。

しかし、こうした活動は核兵器の廃絶を決定できる米国の連邦議会議員を動かすまでには至っていません。米国のオバマ大統領は選挙運動中に、核兵器の廃絶を 訴えて、ノーベル平和賞を受賞しました。冷戦でソ連に勝利した後、大量の核兵器を保有する理由がなくなったからとも言えます。

米国にとって国際紛争の最終解決は、今でも核であり、日本は非核三原則の国という違いがありながら、米国の核抑止力の下で生きる選択肢を取っており、世界に向かって平和を語るなら、その現状を踏まえて発言する必要があります。

-被爆地から平和を訴えることに限界があるのでしょうか

私は広島市内で暮らしたことがありますし、今も広島に友人・知人がいます。その経験から言えば、広島では、被爆体験から世界政治を考え、進行中の戦争情報を集めて行動する人は多くはありません。

ただ、家族や親類に被爆者がいる人は大半で、その被爆体験は詳しく語ってくれます。彼らの大半は被爆という巨大なトラウマを抱えていますが、ほとんど語っ ていません。その個人的な体験こそ、世界が一番聞きたい話であり、日本が米国の核抑止力の下にあっても、世界で一番届くメッセージでもあります。

米国では年間8千人の退役軍人が自殺し、戦闘での死者数を上回っています。切実に平和を願っている人の中には退役軍人自殺者の家族もいます。世界にはベトナムのナパーム弾やカンボジアの地雷、クラスター爆弾などの被害者もいます。彼らと被爆者遺族には共通点が多い。

ですから、8月6日の平和記念式典を、世界中で続く戦争の被害者と日本の被爆者、そして被爆体験継承者が交流する場にすればよいのではないでしょうか。

カルチュラル・ニュースのURLは www.culturalnews.com

Sankei Hiroshima Edition Higashi