2018 半田俊夫の日米エッセー:うちのワン公録

 

ワンちゃん達に囲まれて

ワンちゃん達に囲まれる筆者:左からラブのチビ、娘の家から預かったシェパードのサーシャ、ラブ系プードルのチョコ、娘の家のシェパードのセイディー。(写真提供=半田俊夫)

By 半田俊夫(ロサンゼルス在住)

うちはワンちゃんが今二匹いる。長い米生活で今迄一緒に生活した犬はこれを入れて全部で8匹になる。その間に猫も3匹。加えて時々娘の家の大型シェパード二匹を預かることもある。うちが飼うのはいつもメス。うちの奥さんが雄のおしっこ姿が好きでないのでいつも雌だけ。人間より命が短いから、みな順に僕らより先に天国に旅立ちそのたび僕らは悲しさに沈む。

昔、始めは雑種のベス。いい子だった。一度帰国する時に信頼できる日本人家庭を見つけて引き取って貰った時は切なかった。僕が米国に出張で来た時は訪ねて感激の再会をした。

次に米国に来て最初に貰ったのがコッカスパニエル 系のハッピー。付けた名前どおりの楽しい性格だった。子供を5匹も産み皆可愛くやがて5軒の家に貰われた。ハッピーが一人で産み一人で赤子を舐めて皆きれいにして乳をやり守り育てる様に家族で涙した。ハッピーの後を小さな赤ちゃん5匹が一列に並んで歩いていた姿は今も忘れない。

次が大型ゴールデン・リトリーバーのクッキーと小型ドイツ系ショートヘアード・ポインターのペパー。どちらも色で命名した。いつも一緒でまるで親子みたいだった。クッキーはペパーを子供と思っていたかもしれない。少なくも小さい守るべき存在と思っていたようだ。 最後にペパーが老衰した時は可哀想だった。寝ていても寄ってしゃがんで声をかけると、良く見えない目でよろよろ立ち上がり弱々しくシッポを振りなが寄って来た。死んだ時は、僕ら家族が頑張って生活した数年をずっと一緒に過ごしてくれたと思い泣いた。

次がラブラドール・リトリーバーのデイジー。この時期、目の美しいペルシャ猫チャーリーも一緒だった。二人?は仲が良く、夜は体をくっ付け手を重ねて寝ていた。この頃一時気の強い紀州犬ナナもいて独立派だったな。 デイジーは猛烈な暴れん坊の愛嬌者で家内と24時間の密着度が深く長かった。家内は散歩で引っ張られて何度も転んだ。デイジーの死後、家内は日々共に歩いた近所の散歩コースを2年間歩けなかった。

2年後に今のプードル系小型チョコレート色のチョコと真白な大型ブリティッシュ・ラブのチビが夫々生まれてすぐにうちに来た。チョコは先にうちに来たので小型でもチビより上位と思っているらしい。チビは来た時余りに小さいのでチビと名付けたが今は大型に成長した。のんびりおっとりしていて愛すべき性格。散歩は家内が早朝に、夕方は僕が四、五十分歩く。

犬は人と感情が通じる。言葉も沢山覚える。僕が笑顔で話しかけると嬉しそうな表情で尻尾を振る。いたずらを怒ると下を向いて目を合わせない。僕らが出かける時に「バイバイ」と言うと意味が分かり悲しいので声を出さず伏せている。目の上が八時二十分の悲しい表情になる。

散歩で時に長い坂道を登る時に途中で僕が息が切れて止ってハーハー呼吸を整えていると、ワン公達はちゃんと分ってじっと待っている。時々さりげなく僕を見上げながら。

犬達は僕らが留守中はずっとドアの内側で待ち続け、僕らが帰ると大喜びで猛烈に尻尾を振り全身を揺らし飛び跳ねて歓迎してくれる。朝晩の食事を喜び、マズイとか少ないとかの文句を一言も言わず一心不乱に幸せそうに食べる。お手、座れ、待てなど指示は素直に従い、又かいな、なんて顔はしない。抱いたり触ってやると尻尾を振って喜ぶ。夕方僕が散歩の為そっと靴をはいていても必ず気付いて駆けて来る。散歩?と言うとジャンプして喜ぶ。生活で何の不平も文句も言わない。家内は亭主もこうならいいのに、と思っているかもしれない。多分、いやきっとそうだろう。犬と同列に比べられてもなー。だが一言も無い。いやせめて一言は言うか、ワン公どもは食後に黙々と食器洗いなんぞしないぞ、と。

ワンコウに囲まれている筆者(写真提供=半田俊夫)

ワンちゃん達に囲まれている筆者(写真提供=半田俊夫)

半田俊夫:
東京出身。パサデナ市在住。在米約40年。元航空業界商社経営。以下の諸ボランティア活動を行う:羅府新報の随筆「磁針」欄に毎月執筆。日刊サン・ポエムタウン欄の川柳選者。パサデナ・セミナー会主宰。命の電話友の会、茶道裏千家淡交会OC協会などで会長として現役ボランティア活動。他に南加日系商工会議所、日米文化会館、小東京評議会、南加県人会協議会、米国書道研究所などの理事役でもボランティア活動中。日系パイオニア・センター、L.A.東京会、および小東京ロータリー財団の会長を歴任。リトル東京ロータリークラブ創設会員。南加日商の元会頭。

(本稿はロサンゼルスの日本語新聞・羅府新報の「磁針」欄に2018年9月に掲載された文に大幅加筆したものです。)

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